2022年4月20日、ネットワールドは映像エッジAI事業を展開するEDGEMATRIXと国内初のディストリビューター契約を交わした。映像エッジAIとは、映像などのデータをエッジ(端末)側でAI処理してからクラウドなどで分析する方式のこと。この協業の背景と提供されるソリューションの特長について、ネットワールドの鶴園一誠氏と照川陽太郎氏、EDGEMATRIXの太田洋氏と石田徹氏に話を聞いた。

映像エッジAIスタートアップと大手ディストリビューターが“エッジ”でタッグ

――EDGEMATRIXはどのような会社ですか。

太田 当社は、ストレージ企業のクラウディアンから2019年にスピンアウトした映像エッジAIを事業展開する企業です。われわれはクラウディアン時代にもビッグデータ活用のためAIによる映像解析に3年ほど取り組んでおり、その事業の譲渡を受けてビジネスを始めました。
 
太田洋
EDGEMATRIX
代表取締役社長

――AIに「映像」と「エッジ」を冠したのはなぜですか。

太田 AIの学習用データはほとんどが映像と画像なので、当社はそれらをビジネスの中心に据えることにしました。道路や鉄道などの業種ではたくさんのカメラで24時間365日映像データを取得していますが、そのビッグデータをそのままクラウドに持っていこうとすると、通信コストやクラウド費用が莫大になってしまいます。そこで、当社はエッジ(端末)側で分散処理する“スモールデータ”化を提案しています。

――その映像エッジAIの市場は国内で大きくなっているのですか。

太田 国内でもエッジに対する注目度は高まっていると認識しています。特に当社が市場として期待をかけているのは、スマートシティです。ビルの中や街路に多数のカメラが設置されるようになると、現実問題として少人数の監視員では全てを見ることができません。

――ネットワールドがEDGEMATRIXと協業することになった経緯を教えて下さい。

鶴園 当社はクラウドを含めたITインフラのソリューション・ディストリビューターですが、エッジ市場への参入を以前から模索していました。そうした中でクラウディアンから紹介されたのが、EDGEMATRIXです。いろいろとお話をしていると当社のやりたいこととマッチしていることが分かりましたので、協業を決めました。
 
鶴園一誠
ネットワールド
執行役員SI技術本部副本部長
兼統合基盤技術部部長
デジタルトランスフォーメーション推進担当

ハードウェア・プラットフォーム・開発・支援サービスをパッケージ化

――EDGEMATRIXはどのような映像エッジAIソリューションを提供していますか。

太田 お客様が求められているAI活用を実現するために、ハードウェア・プラットフォーム・開発・支援サービス全てのレイヤーを一つのパッケージでカバーしています。

石田 具体的には、まずネットワークカメラの映像データをAI処理して伝送するエッジデバイス「Edge AI Box」があります。また、プラットフォームとしてはデバイス、サービス、アプリのそれぞれを統合的に管理するクラウドサービス「EDGEMATRIXサービス」を提供。アプリは、ストアを提供しており、主にパートナーのAI企業が開発・登録したものを利用できます。さらに、映像エッジAIの導入~実装~運用までをトータルに支援する「Edge AI Solution」も用意しました。
 
石田徹
EDGEMATRIX
営業統括部副統括部長
(兼)製品・サービス管理部部長

――確かに、エッジでは現場実装が重要ですね。

太田 当社自身で現場に機器設置するため建設業許可を取得済みですし、数多くの実用案件を通じて、開発とプラットフォームの間を埋めるノウハウもたくわえています。

――ネットワールドはEDGEMATRIXのソリューションをどのような形で販売バートナー企業に展開するのですか。

照川 この4月20日から、映像エッジAIで特にニーズが高い「遠隔監視」「施設防犯」「混雑案内」の三つのソリューションパッケージの販売を開始しました。施設防犯で不審者発見時に即時通報ができ、混雑案内で人の密集状況をオリジナルマップ上に可視化できます。いずれも、Edge AI BoxとIPカメラがセットになっていて、施設防犯と混雑案内にはAIアプリも含みます。このほか、導入コンサルティング、設置工事、技術サポートにもワンストップで対応しますから、規模の大小を問わず、お客様のニーズにあったAIシステムを構築できるのが強みです。
 
照川陽太郎
ネットワールド
SI技術本部ソリューションアーキテクト課
課長代理

販売パートナーへの訴求を通じて映像エッジAI市場を開拓していく

――マーケティングとセールスについて、両社の役割分担があるのですか。

照川 当社はディストリビューターですので、このEDGEMATRIXソリューションの良さを販売パートナー各社に広くあまねく紹介していきます。そのために貸出機や検証機も用意しましたし、エンドユーザーも含めたマス向けの認知度向上の施策としてウェビナーも企画しています。ノウハウのスキルトランスファー(技術移転)もEDGEMATRIXさんと一緒に進めていくつもりです。

石田 当社には映像エッジAIのノウハウがありますので、勉強会やホワイトペーパーを通じてそれを広めていきたいと考えています。もちろん、市場に広めていくところにはネットワールドさんの力を借りる必要がありますが、パッケージングについては当社でもお手伝いできる部分があると思います。

――最後に、今後の展望についてお聞かせください。

鶴園 このEdge AI Boxを核となるデバイスとして、お客様にとって導入しやすいパッケージングをいろいろと発信していきたいと思います。それによって、日本の映像エッジAI市場も開けてくると当社は確信しています。

太田 日本のAIはまだまだPoC(実証実験)段階がほとんどです。そのレベルを脱して映像エッジAIを実用化していただくために、お客様の現場への実装に力を入れています。その取り組みを通じてソリューションの導入を促進し、AIを日本の社会に普及させていくことがわれわれの目指すところです。
 
EDGEMATRIXサービス