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オービックビジネスコンサルタント 即戦力型 SaaS ERP 奉行VERPクラウド新登場 「つながる」をキーワードに拡販へ

2022/12/01 09:00

週刊BCN 2022年11月28日vol.1947掲載

 オービックビジネスコンサルタント(OBC)は11月11日、中堅・成長企業向けのSaaS ERP「奉行V ERPクラウド」を発売した。クラウド基盤に「Microsoft Azure」を採用し、世界トップレベルのセキュリティによる安心・安全を確保しつつ、いつでもどこでも利用できる利便性を両立している。あらゆるサービスやデータと“つながる・ひろがる”基盤として活用することで、企業の生産性向上や経営力強化を後押しする点が大きな特徴。連携を促進させる新しいアプローチとして「マネジメントサービス」を取り入れており、パートナーのサービスやソリューションとの連携提案を推進し、顧客のバックオフィスにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現につなげる方針だ。
 
 

業務DXの実現には「つながる」ことが必要不可欠

 DXが叫ばれる今、中堅企業の業務環境は変化を続けている。OBCによると、「業務単位や部門ごとにクラウドサービスを導入するお客様が非常に増えている。国をあげて取り組んでいるDX推進や働き方の多様化、コロナ禍など、変化の激しい経営環境に対応するために、新しいサービスを取り入れて業務を変化させている」(唐鎌勝彦・常務取締役 開発本部長)という。各部門や業務に最適なサービスを採用し、業務生産性の向上を目指すことは一つの解であると言える。しかし一方で、「データがつながっていない」ことによって、バックオフィスではデータを集約するために手作業が増えているというジレンマが発生している。新たなサービスを採用すればするほど、増え続けるデータをバックオフィスが手作業でつないでいるようでは、業務DXの実現はほど遠い。企業が業務DXを実現するためには、外部や部門で発生したデータがバックオフィスまで「つながる」ことは必要不可欠なのだ。
 
唐鎌勝彦 常務取締役 開発本部長

 OBCは、このような状況を踏まえ、「あらゆるサービス・データとつながる」をコンセプトとしたSaaS ERPとして奉行V ERPクラウドをリリースした。

 SaaSにこだわった理由について、唐鎌常務取締役は、「データの保存先がオンプレミスからクラウドに変わっていく傾向がみられる中、さまざまなサービスとつながり、データを集約するためには、SaaSが必要だと判断した」と説明する。また、「お客様もクラウドを求めている。OBCの新規ユーザーのうち、約7割がクラウドを選択しており、クラウド化の流れは確実に加速している。一方で、小規模企業向けのSaaS ERPはあるが、中堅企業向けとなるとIaaSが多く、SaaSはまだ市場にそれほどない。当社が他社に先駆けて提供すると言ってもいいだろう」と話す。

 中堅企業の業務システムと言えば、大型のERPという選択肢もあるが、膨大な導入コストがかかる上、柔軟性に欠けるという問題がある。現在のような変化が激しい時代においては、企業の業務の状況に合わせて最新のクラウドサービスをうまく活用しながら、コアである基幹システムにデータを集約し、そのデータをリアルタイムに経営に活かしていくことが求められる。唐鎌常務取締役は、「奉行V ERPクラウドは、“つながらない”ことに課題を抱えている、業務DXを目指す企業にぜひ選んでいただきたい」と語る。

40年培ったノウハウを注ぎ込んだ 国産SaaS ERP

 奉行VERPクラウドは、中小企業向けに提供している「奉行クラウド」で培った知見を生かしつつも、中堅・成長企業向けに一から基盤を再設計して開発したという。仕訳明細件数は最大1000万件、従業員数は最大2万人まで対応可能な十分な性能を提供する。既に多くの中堅・成長企業に導入されている「奉行V ERP」で実現している機能性は踏襲しつつ、ペーパーレス化・デジタル化を実現する機能も実装している。もちろん、IPO準備企業から上場企業に求められる統制機能も網羅しており、中堅・成長企業に求められる業務要件を満たしている。

 OBCの強みは、40年以上、累計69万社のユーザー企業と共に歩み培った業務の知見・ノウハウだ。日本の商慣習にきめ細やかに対応し、使いやすさを徹底的に追求したものづくりは、この奉行V ERPクラウドにも生かされている。

 最大の特徴は、2023年4月より順次提供を開始する「つながる」ための新しいアプローチ、「マネジメントサービス」(図参照)だ。マネジメントサービスとは、ワークフローなど業務プロセスをコントロールする「PM:プロセスマネジメント」、他サービスを含むマスタ統合を実現する「MM:マスタマネジメント」、大容量データをハイパフォーマンスで処理し自由なデータ活用を実現する「DM:データマネジメント」、グループ企業独自の業務や多通貨・多言語による処理をコントロールする「GM:グループ・グローバルマネジメント」、ライセンスや権限管理に加え、シングルサインオンの利便性を提供する「LM:ライセンスマネジメント」の五つから成る奉行V ERPクラウド独自のサービスである。PM:プロセスマネジメント、MM:マスタマネジメントが提供されることで、例えば、発注管理システムとAPI経由で発注申請データのやり取りを行ったり、顧客管理システムの得意先情報を奉行V ERPクラウドで整理して発注管理システムに同期したりすることも可能になる。従来、パートナーが工数を割いていたデータ連携を効率化でき、パートナーの連携ビジネスにも貢献できる。連携可能なサービスは、会計61、販売管理55、人事労務209種類となっており、オンプレミスやクラウドといったシステム環境を問わず、多様なサービスとつなぐことができる。
 

 さらに、SaaSならではのメリットもある。IT人材不足の中、サーバーのお守りやプログラム更新といったシステム運用管理に人手を割くことが難しくなっている。奉行V ERPクラウドなら、頻繁に行われる制度改正にもプログラムが自動アップデートされ、常に法令に沿った正確な業務をすることが可能だ。長い目で先を見据えると業務自体も変化していくことが予想されるが、新しい機能も追加コストなく提供される。また、奉行V ERPクラウドは、世界トップレベルのセキュリティを誇るMicrosoft Azureを採用しているため、安心・安全に利用できる上、セキュリティ対策のコストの削減も可能。情報システム部門の負担を軽減できることは、顧客にとって魅力的な要素になる。

 和田成史・代表取締役社長は、奉行V ERPクラウドが顧客やパートナーのニーズを捉えたサービスになっているとの考えを示し、「最高レベルのテクノロジーを活用しており、使っていただければ素晴らしさを体感できるはずだ」と胸を張る。
 
和田成史 代表取締役社長

パートナーと共に5年でユーザー数倍増を目指す

 奉行 V ERPクラウドは、顧客の要望に合わせて導入できるよう、バックオフィスの広い業務をDXできる高付加価値な「DX Suiteモデル」と、勘定奉行など業務単位で導入できる「単体モデル」の2種類を用意している。

 DX Suiteモデルは、証憑収集/保管から会計処理、債務管理、オリジナル会計帳票の作成までを網羅した「奉行V ERPクラウド 会計 DX Suite」と、人事管理から給与計算、年末調整申告、労務手続き、マイナンバー管理までをカバーする「奉行V ERPクラウド HR DX Suite」を提供しており、会計や人事労務の広い業務を一気にデジタル化したい企業にお勧めだ。部分的・段階的に導入していくこともでき、企業に合わせて柔軟に業務環境を構築できる。

 中堅企業向けのSaaS ERPと聞くと、「直販で提供するのではないか」と見られがちだが、しっかりとパートナーがビジネスで取り扱えるようになっている。和田代表取締役社長は「OBCの強みは、全国にいるパートナー。クラウドビジネスになってもそれは変わらない。パートナーのサービスやソリューションとの連携ビジネスも推進し、パートナーと共にお客様の業務DXを実現していきたい」と語る。

 これからもOBCは奉行V ERPクラウドの開発には「惜しみなく投資していく」(唐鎌常務取締役)との姿勢だ。刻々と市場ニーズが変化することが予想される中、コア部分をより一層磨きつつ、マネジメントサービスも充実させていく考えだ。

 現在、奉行V ERPユーザーは約1万3700社。今後5年間で新規ユーザー1万5000社の獲得を目標に掲げており、和田代表取締役社長は、「パートナーとお互いに役割分担し、しっかりと選択と集中をしながらビジネスを進めていく」と意気込む。
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外部リンク

オービックビジネスコンサルタント=https://www.obc.co.jp/