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CaseHUB.News×週刊BCN 2人の編集長が語る、セキュリティ最新トレンド インシデントとその対策、事例記事を基に解説

2025/08/28 09:00

週刊BCN 2025年08月25日vol.2072掲載

 6月5日のBCNセッションでは、霹靂社の代表取締役社長であり、同社が運営するビジネスITの事例特化型ニュースメディア「CaseHUB.News」の編集長を務める本多和幸氏と、「週刊BCN」編集長の日高彰が登壇。「【編集長対談】インシデントと対策の事例から知る最新セキュリティートレンド」と題して語り合った。

週刊BCN
日高彰 編集長

 最初のテーマは「今年、セキュリティーの“気になる記事”」。日高編集長が挙げたのは、週刊BCN 2025年3月17日号の記事「IPA『10大脅威』から読み解くセキュリティーの今」。一方、本多編集長はCaseHUB.Newsに掲載した、セキュリティー製品の代表的な事例記事を紹介。「CaseHUB.Newsの記事約1000本中、1割強がサイバーセキュリティー強化の事例」と本多編集長は説明する。

 次のテーマは「SASE導入・運用のハードル」である。Zscaler Internet Accessを導入した国際協力機構(JICA)の事例について本多編集長は「専任担当者がいない海外拠点にも展開できたことがポイント」と評価する一方、「SASEが全ての課題を解決してくれるという幻想もあったように思う」と振り返った。
 
霹靂社 代表取締役社長
CaseHUB.News 本多和幸 編集長

 続けて、「最近、攻撃対象領域管理(ASM)という言葉をよく耳にする」と日高編集長。本多編集長は「脆弱性を能動的・予防的に可視化することが今求められている」と述べて、Tenable ASMを導入した東北大学の事例を紹介した。ASMには、未知の脆弱性(ゼロデイ)への対策としても期待がかかっているという。

 今後の展開が期待されるテーマとして、「自治体のセキュリティー強靭化」についても二人の話は弾んだ。「3層分離の今後はまだ見えていない」と日高編集長。本多編集長はA10 Thunder CFWを導入した鹿児島市の事例を示して、「ローカルブレイクアウトによるα分離モデルの事例は、2024年から増えている。内容はどれも似通っている」と分析した。

 生成AIについては現在は、「セキュリティーでの生成AI活用事例はまだ記事になっていない」(本多編集長)が、「セキュリティー運用を生成AIで効率化する提案はITベンダー各社が用意している」(日高編集長)状況。セキュリティーサービス事業者が顧客向けレポートを作成するために使い始めるのではないか、というのが二人の一致した読みだ。

 「今のセキュリティー製品は、10年前と比べて概念がまったく変わっている。ITベンダーは、新しいコンセプトが顧客の企業価値をどのように高めるかを提案すべきだ」と本多編集長。日高編集長は「限られた予算でもやれることはいっぱいある、ということが企業側に広がっていくことが必要だ」と対談を締めくくった。
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