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CaseHUB.News CaseHUB.NewsのIT活用事例記事1000本を分析 見えてきた業務効率化の3トレンド

2025/08/28 09:00

週刊BCN 2025年08月25日vol.2072掲載

 6月4日のBCNセッション(特別講演)には、霹靂社の代表取締役社長で、「CaseHUB.News」の編集長を務める本多和幸氏が登壇。「IT活用事例記事1000本を分析して見えてきた業務効率化のトレンドとは? ~『CaseHUB.News』発・事例から探るITビジネスの未来図~」をテーマに講演した。

霹靂社 代表取締役社長
CaseHUB.News 本多和幸 編集長

 CaseHUB.Newsは、IT活用事例に特化したニュースメディア。「記事数は、2024年9月の開始から8カ月で1000本に達した」と本多編集長。ジャンルとしては「業務効率化」が719本と最多だという。

 業務効率化が多い理由の一つは、ITの本来の目的が効率化であるためだ。本多編集長はさらに踏み込んで、「『人的資本の最大化』『事業基盤の変革』『外部環境変化への対応』といった課題の解決には業務効率化が不可欠、という圧力が強いのではないか」と分析する。

 では、業務効率化のIT活用事例を読み込んでいくと、どのような傾向が読み取れるのか。本多編集長は三つのトレンドを挙げて、事例のポイントを解説した。

 第1のトレンドは「基幹システムのクラウド移行・刷新」である。その多くは、SAP S4/HANA CloudやOracle Fusion CloudなどのSaaSをベースとしたもの。業務プロセスの見直しによって、カスタマイズをしない“Fit to Standard”を実践している事例も多いという。具体例として、本多編集長はパラマウントベッド(Microsoft Dynamics 365で基幹システムを刷新)、CLホールディングス(SAP S4/HANA Cloud Public Editionで基幹業務の負荷を軽減)、大同火災海上保険(基幹システムをOracle Cloud Infrastructureに移行中)、ヤクルト本社(人事労務関係の全システムをCOMPANYで統一)のそれぞれを紹介した。

 第2のトレンドは「生成AIの活用」。議事録の自動作成、対話や面接のボット対応、映像解析などが主な用途だ。講演で紹介されたのは、東京ガス(CAT.AIで顧客対応を効率化)、TBSテレビ(Gemini 1.5 Proで映像コンテンツにメタデータを自動付与)、キリンホールディングス(AI面接官で候補者を分析)などの事例である。

 第3に「業務のデジタル化プラットフォーム」というトレンドがある。主な用途は、ペーパーレス化、業務プロセス改革、業務アプリ開発の内製化など。事例としては、大分県(BtoBプラットフォームのTRADEと請求書で購買業務を効率化)、JTBビジネストラベルソリューションズ(ServiceNowで新ポータルサイトを構築)、エクシオグループ(intra-martを内製開発基盤に採用)などがある。

 このようなトレンドから分かるのは、企業は業務効率化を通じて競争力強化やイノベーション創出を目指しているということ。ITベンダーに向けて、本多編集長は「企業に寄り添って変革を支援するパートナーになることが求められている」と話した。
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