2年後見据えて手を打つ
──現在展開しておられるビジネス強化施策、また社内での取り組みについて教えてください。
今城 昨年の10月1日に、新しいビジネスを考案するための「ビジネス開発部」を設置しました。これまでの「人出し」ビジネスを、今、変えていく必要があると考えています。
──以前、新卒の社員を集めた「ソリューション本部」でビジネスを立ち上げる取り組みもされていましたね。
今城 以前実施していたような取り組みとは違い、各事業本部から中堅社員以上の従業員を何人か選抜しました。例えば、産業・流通ソリューションといったさまざまなビジネスソリューションの企画・開発に、30人ほどの従業員が参加しています。半年、1年の赤字は仕方ないとしても、2年を目標にビジネス立ち上げを見据えています。
一方で、「ビジネス開発部」では地域戦略の検討も行っています。ビジネス開発部だけでなく、「品質管理グループ」を設置して、システム品質の向上に努めているところです。
当社の社員のうち、ほとんどが顧客先に常駐していて、ほとんど会社に帰ってくることがありません。だから、いつの間にかNSDという会社への帰属意識が薄れてくる社員も出てくると思います。そこで、帰社日を設定することで、その日には必ず当社に帰ってこさせるようにしています。そして、例えば10~11月の2か月の間、社内に何が起こったのかを上司から伝えるような機会をつくっています。「NSDの社員としての自覚をもたせる」ための措置です。
このほか、入社3年目の社員を対象とする社長ランチミーティングを実施しているほか、予告なしに顧客先のプロジェクトを訪ねて、常駐している当社の社員と話をする機会をつくっています。これまでに80件ほど、プロジェクトを訪問してきました。
現場を預かる当社の社員には、御用聞きになるのではなく、「モノを言うSEになれ」と言い聞かせています。例えばレビューの場では、自分の思いを発言しないといけません。何のために、どうして、こんなシステムを開発しているのかを自分自身がきちんと理解し、それを提案、行動につなげていってほしいと考えています。また、動かないシステムを作っても意味がありませんから、「品質」にこだわりをもってほしいと言っています。人の気持ちの持ち方で変わってくる部分もありますからね。
──今後の展開について教えてください。強みとしておられる金融関係のほかに、力を入れていかれるのは?
今城 IT投資額の面からいっても、今後のトレンドを考えて、これから金融統合が進んでいくでしょうから、そのジャンルについて対応をしていくうえでも金融関連は大事にしていきたい。一方で、産業、流通、通信といった分野についても、サービス事業の展開も含めて強化していきたいと考えています。
大きな流れとなっている「SaaS/クラウド」については、まだこのモデルが将来的に伸びていくかどうかは様子を見ている状況ですが、ビジネス開発の一環として勉強しているところです。
先ほども言いましたとおり、「人出し」から脱却を進めていかなければなりません。顧客は実績しかみていませんから、技術力もさることながら、品質を完璧なものにすることで「一生客」の足がかりとしていきます。
また、当社なりのソリューションを企画・開発して出していく必要性を実感しています。それこそ、今年は寅年ですから「トラのように力強く一歩を踏み出す」年になればいいと考えています。
──今年度の売上目標は?
今城 現時点では2010年3月期で売上高350億円の達成を見込んでいます。
眼光紙背 ~取材を終えて~
今城社長には、同社の子会社で株主優待サービス「グッぴー」の運営、システムの販売を行っているシェア・ホルダーズ・リレーションサービスの社長時代に一度取材をさせていただいた。
社長ミーティングや予告なしのプロジェクト訪問など、社員に対して非常にフランクに接している姿勢を垣間見ることができる。
「グッぴー」は当時外国人株主比率が37%に達していたことから、個人株主を増やし、長期に保有してもらえるのかといったを模索した結果、ポイントを使って好きな商品と交換できる株主優待を形にしたユニークなサービスだ。
また、さまざまなベンダー、販社を取りまとめて組織化し、メールのリスク管理に関する製品・サービスを統合した「メール統制ソリューション」として、立ち上げたのもこの会社。創業は古いが、いつ取材に訪れても新しさを感じる。(環)
プロフィール
今城 義和
(いまじょう よしかず)1961年愛媛県生まれ。84年3月に岡山理科大学理学部卒業後、同年4月、日本システムディベロップメント入社。05年、執行役員第1システム本部長、07年6月、常務取締役執行役員 営業統括本部副本部長、同年8月、シェアホルダーズ・リレーションサービス代表取締役社長兼任、08年4月、専務取締役営業統括本部長などを歴任後、09年4月から現職。
会社紹介
情報サービス事業(ソフトウェア開発、コンピュータ室運営管理)、ソフトウェアプロダクト事業を展開。ソフトウェア開発を主軸とする。また、セキュリティ対策のパッケージソフトを中心に、独自開発製品や国内外の有力企業とのアライアンスによる製品の販売活動を行うソフトウェアプロダクト事業も手がける。売上高は2009年3月期で416億300万円。