日立ソフトウェアエンジニアリングは、今年10月1日付で日立システムアンドサービスと合併し、日立ソリューションズとして新しいスタートを切る。だが、“相似形”と揶揄されてきた両社だけに、統合後の相乗効果が発揮できるかどうかを不安視する声も聞かれる。日立ソフト社長で、日立ソリューションズ副社長への就任が予定されている諸島伸治氏は、「将来的に年商5000億円を視野に」と、新会社の事業拡大に強い意欲を示す。
「日立ソフト」を終わらせる
──外野からは“相似形”と言われてきた両社ですが、合併することで、より一段と筋肉質になれますか。
諸島 確かに、一部で似ているところはあります。金融や製造など業種の面、あるいは首都圏でのビジネス比率が大きいというエリア面でもそうです。ただ、中身をみると、同じ業種でも主要顧客のユーザー企業が違ったり、たとえ同じユーザー企業でも、担当している業務分野が異なったする場合が多い。エリア的にも、首都圏は重なりますが、その他の地域では意外と重ならない。例えば、日立ソフトは名古屋と大阪の方面については手薄ですが、日立システムは強い。また、北海道、東北、九州は日立ソフトのほうが強いという具合です。
──では、具体的にどれほどの合併効果を見込んでおられますか。
諸島 両社のもっている商品やサービスを、双方の顧客に売り込むクロスセルなどを推進します。こうした取り組みに力を入れることで、最低でも10%くらいの売り上げ増大効果が期待できます。すでに、4月からお互いがもつ商材を、相互に吸収し合う勉強会を開いており、現場レベルの交流が活発化しています。会社としても、仕事上のコミュニケーションを促進できるよう環境整備に力を入れているところです。
合併して「1+1=2-α」にするのではなく、「+α」にしたい。相殺ではなく、相乗効果を発揮してこそ、一緒になる意味がある。これだけの規模のSIer同士が統合するわけですから、少なくとも売り上げベースで1割アップ水準の相乗効果がなければおかしいでしょう。私は少しせっかちなところがありまして、合併後の最初の半年間(10年10月~11年3月期)で、150億円規模の増収効果を期待していますよ。新会社の日立ソリューションズの年商規模がおよそ3000億円であることを考えれば、通期増収効果の半分を、今期下期には叩きだしたい。
──両社合わせて3000億円規模の売り上げとなると、SI業界トップグループに仲間入りです。見えてくる景色も違ってくるのではないでしょうか。
諸島 日立ソフト単独でも、年商約3400億円の野村総合研究所(NRI)に追いつけ追い越せで努力してきましたから、合併後に狙うのは、もちろん業界トップの座です。実際、日立製作所の情報・通信システム社と日立ソリューションズ、日立情報システムズ、日立電子サービスのSI系主要会社のSI・ソフトサービスの売り上げを合算すると、業界トップは十分に射程内だと踏んでいます。
これまで、日立ソフト、日立システム、日立情報システムズそれぞれが上場会社だったわけですが、今年に入って日立製作所の完全子会社になりました。SI系のグループ全体を一体的に経営することで、ライバルに対する競争力を大幅に高めるのが狙いです。日立ソフトは今年で創業40周年の節目であり、これまで支援していただいた顧客や、頑張ってきた社員、諸先輩方のためにも、当社にとって最良の形で、日立ソフトという名前の会社を終わらせたい。
当社も、当社のビジネスモデルも
そして情報サービス業界も、
今、世界に向けて大きく変わる節目に差し掛かっている
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