ソリューション事業の売上比率を50%へ
──御社はDC向けの事業展開で、小規模から大規模までのDCを幅広くターゲットに据えていると聞いています。DCソリューションを開発するにあたって、とくに力を入れる製品、すなわち、御社にとって収益性の高い製品はどのようなものになりますか。
モンディ 収益性が高いのは、当然ながら原価が低いソフトウェアです。当社は、例えば日本語に対応しているDC向け統合管理ソフトを販売しており、着実にソフトウェアのポートフォリオを拡充しつつあります。しかし、もともとハードウェアのメーカーですから、売上構成では、小型UPSなどのハードウェア製品がまだ非常に大きいウェートを占めています。今後はどうするかということですが、ソフトウェアに事業の舵を切るという表現は少し言いすぎですが、ソフトウェアの販売に力を入れたいと考えています。中長期的にみて、UPSをはじめとするハードウェア事業と、ソフトウェアを含むソリューション事業による売上比率を半分ずつにするつもりで計画を立てています。
私どもは、DCの規模によって、それぞれ違うソリューションのかたちや提案の仕方が必要になると考えています。冒頭で申し上げたパートナープログラムでは、小・中・大とDCの各規模に合わせて、パートナーを「Select」「Premier」「Elite」に区分して、Selectパートナーが小規模DC、Premierパートナーが中規模DC、Eliteパートナーが大規模DCに集中して販売活動を行う仕組みをつくっています。DCのそれぞれの規模への適切なアプローチを図りながら、DC市場を幅広くカバーすることを狙っているのです。DCのなかでも、市場が大きい100ラックまでの中型センターに向けた事業展開を重視し、早いうちにパートナーと一緒に提案活動に取り組んでいきたい。中規模DCは、大規模のDCに比べて、どれだけ迅速にソリューションを提供することができるかがポイントです。中規模DCに向け、標準化されたソリューションが販売しやすい商材になるとみて、開発を推進しています。
──製品戦略では、ソフトウェアの販売に力を注ぐとのことですが、「モノ」以外に、「ヒト」と「カネ」に関しては、どのようなことに取り組みますか。
モンディ 日本法人は、およそ150人の従業員を抱えています。ビジネスを伸ばすためには、内部の人材育成に取り組むのはもちろんのこと、パートナー支援やハイタッチ営業を強化するうえでも、新たに人材を採用しなければなりません。今後、人員体制を強化して、パートナーやユーザー企業のニーズに迅速な対応ができる組織をつくります。
シュナイダーエレクトリックとしては、DC向けセキュリティなど、まだ入り込めていない市場分野がたくさんあります。IP監視カメラや記録装置などを提供し、セキュリティ分野など、新しい市場を順次開拓したい。売上目標の具体的な数字は言いづらいのですが、市場全般の成長率を超える勢いで伸ばしたいと考えています。
・お気に入りのビジネスツール ビジネスに直接関わるツールではないが、ミズノ社製のランニングシューズがお気に入り。このシューズを履いて、朝のランニングを日課としている。「走り終えて、すっきりした気分で一日の仕事に取りかかる」とか。ちなみに、モンディ社長はフルマラソンにも参加し、ベストタイムが3時間49分だそうだ。
眼光紙背 ~取材を終えて~
DCの需要が高まったり、都市インフラのICT(情報通信技術)化を図る「スマートシティ」が普及しようとしているなかで、シュナイダーエレクトリックのように、ファシリティ系のIT製品をもつプレーヤーは強さを発揮している。
モンディ社長は、インタビューを受けて、ソフトウェア事業を拡大していく意気込みをみせた。シュナイダーエレクトリックは、エネルギーを生産的かつ環境にやさしいものにするという「EcoStruxure」のコンセプトの下で、DCやオフィスビル、工場などでの電力使用を統合的に管理するソフトウェアを投入。「ユーザー企業のビジネス戦略とエネルギー戦略の統合」を「EcoStruxure」提案のキーワードに掲げている。
これから、ITの活用によって電力を効率よく使う需要が高まるとともに、大量のデータを処理するニーズが旺盛になる。こうした状況にあって、シュナイダーエレクトリックの統合管理ソフトは有望な商材になりそうだ。(独)
プロフィール
アルノ・モンディ
ARNAUD MONDI(アルノ・モンディ)
1988年、仏エコール・サントラル・ドゥ・リヨン電気工学部を修了後、日本テレメカニックに入社し、オートメーション部の部長を務める。仏Schneider Automation、日シュナイダーエレクトリック、仏Schneider Electricなどを経て、2008年10月、富士電機とシュナイダーエレクトリックの合弁会社である富士電機機器制御の副社長に就任。その後、シュナイダーエレクトリックエンジニアリング、シュナイダーエレクトリックホールディングスの社長を歴任する。2012年1月、シュナイダーエレクトリックの社長に就任。
会社紹介
1996年に設立された。2011年10月、社名を「エーピーシー・ジャパン」から「シュナイダーエレクトリック」に変更。「APC」ブランドのUPSの販売と保守サポートをはじめ、DC/サーバールーム向けのITファシリティの提供や電気工事業などを手がける。社員数はおよそ150人。東京・港区に本社を構える。