産業革新機構と富士通グループのニフティが出資するグロザスは、日本のデジタルコンテンツを海外展開する役割を担っている。今年5月に会社を設立し、まずはASEAN地域最大の市場であるインドネシア市場向けに第一弾のコンテンツ販売をスタート。続く11月には同じくインドネシア向けの第二弾の商材を投入するなど、矢継ぎ早にローカライズしている。ニフティのパブリッククラウドサービス「ニフティクラウド」をインフラとして活用しつつ、グロザスがコンテンツホルダーを代行するかたちで、海外にデジタルコンテンツを販売するスタイルを目指す。グロザスを率いる津田正利社長に同社の戦略をたずねた。
「ニフティクラウド」をインフラに活用
──パブリッククラウドサービスの「ニフティクラウド」をインフラの一部として活用し、日本のデジタルコンテンツの海外向けサービスを担うわけですが、どのように取り組んでいこうと考えておられますか。 津田 当社は、官民投資ファンドの産業革新機構が60%、ニフティが40%出資する合弁会社で、日本のデジタルコンテンツを海外で売っていくことを事業としています。ニフティクラウドはデジタルコンテンツを配信するインフラとして活用します。
経済産業省の産業技術実用化開発事業補助金を活用し、ニフティクラウドをプラットフォームとした海外展開支援事業を手がけたことがきっかけになりました。この実証事業は2011年度で終わったのですが、これで終わらせるのはもったいないということで、当時、ニフティでウェブサービス事業担当の役員だった私が中心となって企画し、設立したのが、このグロザスという会社です。
──パブリッククラウドの領域では、Amazon Web Services(AWS)やWindows Azureなどグローバルサービスが幅を利かせています。グロザスが海外展開を担うことで、ニフティクラウドの海外における普及促進にもつながりそうですね。 津田 なかなか、そう一足飛びにはいきません。ニフティクラウドのユーザーのなかには、ネットサービスやオンラインゲームなどエンタテインメント(エンタメ)系の事業者が多くおられますので、私たちからみれば、ニフティクラウドからデジタルコンテンツ商材を仕入れて売るという流れが予想できます。つまり、ニフティクラウドのエンタメ系ユーザーとともに海外に対してビジネスを仕掛けて、結果として将来的にニフティクラウドが海外でも知名度が高まることにつながればよいと思っています。
──海外から高く評価されている日本のコンテンツは、アニメやゲーム、コミックなどをもとにしたデジタルコンテンツということになるのでしょうか。 津田 アニメやゲームはちょっとコンテンツとしては重いんですよ。著作権などの制約も多く、不正コピーされたときのリスクも大きい。ですので、まずは携帯電話向けの着信音アプリとか、カジュアルゲーム的なものから始めています。
今年9月には、第一弾のデジタルコンテンツとして、インドネシア市場向けにFacebook用の占いアプリ「Star Reader(スターリーダー)」を商品化しました。この占いアプリは、国内では「きょうや式・星座別攻略法」として販売してきたコンテンツで、これをインドネシア向けにローカライズしたものです。インドネシアのFacebook利用者数は世界第4位と多く、まずはメジャーなソーシャルメディアを活用して1件で約8円相当の単価で販売しています。収益は日本向けの開発元であるスターマーク社と配分するかたちです。
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