アジア市場を得意とし、SAP製品のSIにも強みをもつアビームコンサルティング(アビーム)のビジネスが好調だ。日本企業の積極的な海外進出を追い風に、グローバルIT経営基盤を構築するプロジェクトを多く獲得している。強さの秘訣は、顧客の業務内容とITを知り尽くす人材だと語る岩澤俊典社長。「アジアNo.1のコンサルティングファーム」を目指すその経営ビジョンに迫った。
業務知識とITを熟知した人材が強み
──アジア市場に強みをもつコンサルティングファームとして、グローバルビジネスは着実に成長し、業績も右肩上がりですね。好調の秘訣は、率直にいって何でしょうか。 岩澤 日本も海外も関係なく、私たちの強みは、お客様の業務知識とITの両方を詳しく知る人材が豊富にいることで、これが競争力の源泉です。今の時代、お客様のビジネスプロセス(業務内容)を考慮しないITなんて、ナンセンス。アビームのスタッフは、お客様の業務内容とそれを効率よく遂行するためのビジネスプロセスを深く理解したうえで、必要なITを提案することができます。
そこに、アジアに張り巡らせた強固なサービス基盤が生きてきました。アビームは、アジア市場をだいぶ前から意識して基盤を整えてきたので、他のSIerやコンサルティングファームよりもアジアでの実績が豊富です。アジアに進出するお客様が急増していることで、アビームに目を向けてもらえるようになっています。狙うのは、アジアNo.1のコンサルティングファームです。
──ユーザーの業務知識に精通しているのが強みとのお話ですが、アビームが強い業種は、製造業など特定の業種のような印象があります。 岩澤 アジア進出に積極的なお客様の業種は製造業が多いので、自ずと製造業のお客様が増えました。ただ、だいぶ前から金融業向けビジネスにも力を入れていて、社会基盤を運用する企業・団体のお客様にも評価されています。
いずれにしても、「お客様の業務内容に詳しい」ことをコアコンピタンスにしていますので、現在も、そうした業種を着実に増やすための取り組みを粛々と実行しているところです。お客様の業務内容を把握するのは、一朝一夕では不可能です。「一つずつ着実に」を胆に銘じています。
──得意分野を広げていくには、優秀な人材の採用と育成が欠かせませんね。 岩澤 研修制度には相当の力を入れていて、量も質も充実した内容を用意しています。社員にとっては、研修を受けるだけでもアビームに入った価値があるくらいの内容です(笑)。アジアに強いコンサルティング会社というイメージが定着しつつあることで、優秀な人材を新卒・中途を問わず獲得できるようになっています。
[次のページ]