同世代の有志経営者で議論
──それでJASIPAの門を叩いたと。 ここでは主に駆け出しのSIer経営者が集まって、「中小ベンチャーSIerが成長していくための勉強会」をまじめにやっているんです。私がJASIPAに参加した03年は、初代理事長の和知(哲郎=メディアミックス社長)さんが、三次請け、四次請けでは景況感に大きく左右されるばかりか、成長や発展の見通しも立たないとして、有志メンバーと立ち上げたと聞いています。
こうした設立の経緯もあって、JASIPAの活動の基本は、設立当初から「委員会」での勉強会や研究活動に主眼を置いているのですね。例えば、マーケティング委員会やエンジニアリングサービス委員会、グローバルビジネス委員会など六つほどの委員会活動に分けて、メンバーそれぞれ興味がある委員会に参加することで、中小SIerが成長していくための方策やチャンスを探っています。
──委員会活動を通じて、林さんご自身は、どのようなヒントを得られたのでしょうか。 私の場合は、パッケージソフトやクラウドサービスのつくり方のヒントを学びました。これまで下請けの仕事ばかりでしたので、自社独自の商品づくりや売り方のノウハウはありません。委員会メンバーの誰かのコピーというわけではなく、メンバーの先輩方が自社商材について侃々諤々(かんかんがくがく)と議論しているのを端で聞いて、自分なりに「あぁ、なるほど、それならうちでもやれる気がしてきた」と自信が湧いてきたイメージでしょうか。とにかく刺激になりました。
さっそく自社に持ち帰って、これまでの開発実績や当社でもっているノウハウのなかから商品化できたのが、レンタル・リース業者向けの在庫・請求・回収の管理システム「RMC(レンタル・マネージャー・クラウド)」です。他にもいくつかパッケージ製品の品揃えを増やして、今では基本的にこうした自社の強みの部分を集約したコアパッケージ、コアモジュールをベースとしたSI(システム構築)に主軸を置けるようになりました。
──業界団体って、ある種の“呉越同舟”であって、発注者と受注者が混在していたり、お互いの手の内は明かさないなど、いろいろしがらみがある印象ですが、どうなんでしょう。 もちろん、お互いライバルである側面はあるのですが、駆け出しの若いSIerの手の内なんて、たかが知れています。意外に腹を割って話すことができるんですよ。ここでポイントなのは、同じような年齢で、これから成長していく意志をもっている人たちが集まることなんです。
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