2015年8月1日、米本社に先立って分社化して誕生した日本ヒューレット・パッカード。11月1日の米本社による分社化によって、エンタープライズ事業に特化した会社として本格的に動き出したわけだが、どのように変わったのだろうか。旧・日本ヒューレット・パッカード時代の2015年1月から社長を務める吉田仁志氏は、「日本の社会やお客様を元気にする」ことを掲げ、それを実現するための戦略を打ち立てたほか、社員の意識改革なども進めている。吉田社長に、分社化によるメリットや今後の戦略などについて聞いた。
グローバル化に向けた社員の意識改革へ
──分社前からですと、日本ヒューレット・パッカード社長に就任してから1年弱が経過しました。これまでを振り返って、この間のミッションに対する、ご自身の実績をどう評価していますか。 それなりに結果を出していると自負しているのですが(笑)、まだ1年なんで自分を評価できる段階ではないでしょう。というのも、当社が何をしようとしているのか。それは、「日本の社会やお客様を元気にする」「日本のお客様の役に立つ」ということなんです。このミッションに対して実績を出したのかといわれれば、まだまだです。とくに、(外資系企業でありながら)当社自体がグローバルな振る舞いができているかといえば、そうではないからです。
──「まだまだ」ということで、現在、どのようなことに取り組んでいるのですか。 言語の問題もそうですが、「日本はこうだから」と社員が思ってしまうと間違った方向になる。どうあるべきかを理解して、今日の行動をしなければならない。そう考えると、社員は意識改革が必要ということですね。今、日本は世界で第2位の経済大国ではない。グローバルで、日本は忘れられているんです。そんな状況のなかで日本を元気にするためには、社員が意識を変えて、お客様の意識も変えることをしなければならない。もちろん、お客様のなかにはすでに気づいていて、意識改革を果たしているケースもあります。ただ、気づいていないケースも多い。だからこそ、社員が変わらなければならないのです。
──そのミッションは、分社前から掲げていたのですか。 そうです。分社後は、社員に対してさらに説いています。また、分社後はとくにビジネスモデルを簡素化しましたので、お客様に何をしなければならないのかが、より明確になった。分社前からの取り組みを踏まえて、今まさに改革し始めたというところですね。
──戦略では、どのようなことを打ち立てていますか。。 当社は、トランスフォーメーションエリアとして四つの戦略を打ち立てました。(1)ハイブリッド・インフラへの「変革」(2)デジタル・エンタープライズの「保護」(3)ワークプレイスの生産性「向上」(4)データ指向経営の「推進」──です。ただ、まだまだ道半ばです。そういったことを含めて時間はかかるとは考えています。ただ、スピード感をもって進めていきます。
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