インフラをコアにソリューションを提供
──改めてうかがいます。なぜ分社したのですか。分社化で製品ポートフォリオが縮小しました。製品ポートフォリオの多さで、さまざまなリクエストに応えるのが強みだったとの声もあります。 さまざまなリクエストに応えるためには、もっと機敏性が必要なんです。例えば、データ量は以前は5~10年のスパンで2倍になっていたのが、今は半年で2倍です。この例からもわかるように、スピードがものすごく速くなっているんです。もちろんビジネスモデル変革も、かなりスピード感をもってやらなければならない。また、分社化は将来を見据えたうえでの判断です。製品・サービスを広げたところで、今あるものなので、その製品はいずれ過去になってしまう。そんなものを広げることにメリットがありますか。私は、そうは思わない。
──なぜ、メリットにならないと思うのですか。 当社も数々の買収を進めてきたからです。確かに、製品やサービスが広がるのはビジネス拡大につながるでしょう。しかし、買収は単に製品やサービスを広げただけにとどまりません。企業間の文化や慣習などを統一しなければならないし、重複する部分は削らなければならない。あえていうなら、企業統合に向けて内部で血を流さなければならないケースも出てくるのです。当社は買収の分、製品・サービスの領域が広がった。しかし、これまで血を流してきたからといって、今後さらにビジネスが拡大できるかといえば、そうではない。日本ヒューレット・パッカードと日本HPが、それぞれ注力する製品・サービス・市場領域にフォーカスして積極的に投資する。企業として最善のことができるようにしたのです。
──では、どこに投資するのですか。 先ほど申し上げた四つのトランスフォーメーションエリアをベースに、お客様目線でソリューションを提供していくのですが、これはパートナー企業と組んで強化していきます。これまで当社は、テクノロジーにフォーカスしてビジネスを手がけてきた感があった。今も、技術力が高いと自負はしていますが、では、ソリューションに価値を付加するために当社がするべきことは何か。ハードウェアを中心としたインフラの強化です。お客様の用途や利用シーンを想定してパートナー企業と当社で最適な提案を行うことができるように取り組んでいく。そして、当社はインフラの強化に積極的に投資していく。ソリューションで提供できること、モノであるインフラでできることをきっちりと分けて、お客様のニーズに応えていきます。国内だけをみるとハードウェアは市場が成熟しているといわれていますが、グローバルでは非常に伸びています。また、サービスの時代で、クラウドが主流になるといわれていますが、実は8~9割が既存のオンプレミスなんです。そのため、ハイブリッド環境のニーズが高まっているわけで、インフラが重要ということです。
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