トップ交代を機に水平分業にシフト
──昨年、山本前社長にお話をうかがった時は、デバイスを含めてすべてを抱えていることこそが富士通の強みだとおっしゃっていました。今回の動きは明確な方向転換ですね。 富士通がすべてのスタックを垂直統合で網羅していたことで強みを発揮できた時期があったのは確かですし、そこで蓄積された技術に価値があるのは間違いないので、そこは誤解しないでほしいんです。ただ、世の中はどんどん水平分業にシフトしています。垂直統合にこだわり、大きな流れを前に逡巡していると、対応が遅れてしまうという危機感がありました。トップが代わったことを機に、水平分業の世界でも、きちんとわれわれが勝ち残れるビジネスモデルを確立できるような方針を打ち出さなければならないと考えたのです。
──垂直統合と水平分業のウエイトが変わったと。 これまでのICTは、企業にしても官庁にしても、既存の業務プロセスに使われてきました。業務プロセスをシステム化して、そこからデータを事業に戻してということをやってきた。この領域であれば、垂直統合は強い。しかし、ICTの適用領域はどんどん広がっています。むしろ、ICTを使わないものがないというくらいになっている。そうなると、垂直統合だけでは、この広がりをキャッチできない可能性が高くなってしまうというわけです。むしろ事業体の幅を広げてそれぞれの特徴を出すことによって、ニッチな領域でも強みを発揮してナンバーワンを取り、生き残ることができるのです。
──PCについては、東芝やバイオとの統合を検討しているという報道がありました。デバイスのビジネスは規模が重要だと思いますが、そうした検討はされているのでしょうか。 具体的なコメントはできませんが、分社化は始まりに過ぎず、これからいろいろな選択肢を考えていかなければならないのは確かです。市場環境もどんどん変わっていきますしね。
──報道されている内容についても、可能性を否定しないということですか。 当然、いまのかたちでコア事業とのシナジーやグローバルで戦えるような強みを出せれば、それが一番ハッピーでベストです。ただ、そうでなければ、いろいろな要素を考えて手を打っていかないといけないと思っています。
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