真っ先に製品を選んでもらえる存在に
──ThingWorxと競合するベンダーや製品はありますか。 IoTプラットフォームの提供というと、クラウド事業者を浮かべる方が多いと思いますが、当社はThingWorxでIoTプラットフォームが提供しやすい環境をつくることに力を入れますので、どちらかといえばクラウド事業者とタイアップしていくことになります。ですので、競合はいない。製品で、強いていうならばユーザー企業の要望通りにカスタマイズしてシステムを構築する、いわゆる「手づくり」が競合になってきますかね。ただ今後、手づくりの傾向が高まるとは到底、思えませんので(笑)。
──そういった意味でクラウド事業者やSIerとのパートナーシップに重きを置いているのですね。 そうです。また、パートナーシップをさらに強化する策を講じていかなければなりません。パートナーの開発者向けには、専用のサイトによるデベロッパーズコミュニティを用意しています。コミュニティはグローバルで数万人規模にまで膨れ上がっています。もちろん、パートナープログラムの強化は今後も続けていきます。
──今後、どのような存在になろうとしていますか。 IoTの先駆者であることからも、“トップランナー”を目指します。正直、CADでは決して“トップランナー”ではなかったので(苦笑)。ただ、当社のIoTプラットフォームは、現段階で誰も真似することができない。そういった点では、IoT関連ソリューションを提供したいベンダーが真っ先に当社を選ぶ、またユーザー企業がPTCジャパンの技術を求める、そんな存在になりたいですね。
──“トップランナー”として、業績についても相応の成長を遂げるなど走り続けるということですね。 当然です。波に乗れば、今の勢い以上のものを維持できると確信しています。世界のIoT市場規模は2020年に1兆7000億ドル(日本円で約193兆3000億円)になるといわれています。この1%のシェアを獲得するだけでも、かなりの売上規模。しかも、当社の足元をみると倍々ゲームで伸びている。パートナーシップを組みたいという話が増えていて、この半年でいろいろな交渉が進むようになりました。今後、さまざまなパートナーシップを発表できると思います。加えて、日本は東京五輪によって、ますますIoTが活発になるといわれています。それまでに、いかに“トップランナー”の地位を確立できるかが、勝負です。

‘IoT関連ソリューションを提供したいベンダーが真っ先に当社を選ぶ、またユーザー企業がPTCジャパンの技術を求める、そんな存在になりたい。’<“KEY PERSON”の愛用品>精神力が鍛えられる 4年ほど前からトライアスロンを始めた。スイム3.8km、バイク180km、ラン42.195km、計約226kmで行う「アイアンマン・ディスタンス」が主戦場。「精神力が鍛えられる」という。これが仕事にも生かされている。
眼光紙背 ~取材を終えて~
自社製品に優位性があるIoT関連に力を入れるようになって、これまでとはビジネススタイルが変わるため、社員に意識改革を訴えている。「キーワードは『チェンジ』。今の自分を敵だと思って破壊的創造をしていくように言っている。『今日のベストは明日の最低』とも意識させている」とのことだ。ただ、単に言葉で伝えればいいわけではない。全社員が対象のワークショップを開催し、幹部や現場の分け隔てなく新ビジネス創造に向けたアイデアをプレゼンテーションする。後は、日々のコミュニケーション。「ランチやディナーで話しやすい環境をつくる」。ときには、お酒を酌み交わして意思の疎通を図る。
「会社が変わるためには、とくに経営陣が背中をみせられるように心がけている。私も含めて(笑)」という。なお、自身を鍛えるためにトライアスロンに挑戦しているそうだ。(郁)
プロフィール
桑原 宏昭
桑原 宏昭(くわはら ひろあき)
1987年、青山学院大学理工学部経営工学科を卒業、工学士号を取得。同年、富士通流通システムエンジニアリング(現富士通システムズ・イースト)に入社し、システムエンジニアとして製造卸業界を担当。91年、日本オラクルに入社、プリセールスエンジニア、コンサルティング、営業役員などを経験する。09年11月、PTCジャパンの代表に就任。現在に至る。
会社紹介
1992年3月13日に設立。CADソフトウェアやPLMソフトウェアなどの製品をもち、製品の設計、運用、サービスの促進など、製造業向けのソリューションを強みとしている。加えて、13年12月に「ThingWorx」を買収しIoT分野に本格的に進出。非製造業に向けてもビジネスを手がけていく基盤が整った。また数々の買収で、IoTプラットフォームサービスの「Axeda」、自動予測分析プラットフォームの「Neuron(現製品名は『ThingWorx Machine Learning』)」、拡張現実(AR)プラットフォームの「Vuforia」などもラインアップとして揃える。