印西市に大型DC第2棟目を開業へ
──2017年末までには、千葉県印西市にDC新棟を開業予定など国内への投資を拡大させています。 DCだけではないですよ。向こうおよそ1年で首都圏と関西圏でのサービス拠点数を1.5倍に増やし、通信キャパシティも10倍に増強。東西の基幹回線を完全に二重化するとともに、海底ケーブル中継所への接続数も現在の3か所から4か所に増やして、信頼性を一段と高めていきます。
印西市のDC新棟は第2棟目で、電源容量約1500万VA(ラック換算で約2500ラック相当)の大型のものですが、実は取得している土地はあと2棟建てられる余裕があります。大容量のDCと通信ネットワーク、さらには主要顧客のオフィスビルまで物理的な通信回線を敷設してしまうのがColt流のビジネス。日本のColtは旧KVHとして1999年に設立したのが始まりです。都内を歩いているとき、道路のマンホールの蓋を注意深くみていくと、旧「KVH」のロゴが刻印された蓋がまだけっこう残っています。地下に敷設したケーブルの保守用の出入り口になっているものです。
Coltと旧KVHはともに米投資会社フィデリティグループの事業会社で姉妹関係にあったということもあり、2014年にColtグループとして事業統合しています。
──欧州と日本、アジア太平洋では、市場特性がかなり違う印象を受けます。 成長している点では共通していますよ。「成長の仕方」が違うだけです。欧州の伸びの中心は、マイクロソフトやIBM、Googleなどの大手によるクラウド移行が占めていますが、アジア太平洋はDCやネットワークそのものへのニーズが右肩上がり。つまり欧州は新しい技術革新によるニーズの変化が牽引役になっているのに対して、アジア太平洋はデータ量の爆発的な伸びを支えるインフラニーズが旺盛です。
──御社のライバル企業はDC事業者、通信事業者、クラウド事業者などでしょうか。 そのすべてが顧客であり、よき協業者であり、ライバルです。
──どういう意味ですか? つまり、当社は特定の通信キャリアに依存していませんので、ユーザーは複数のキャリアのなかから自分に合ったものを選べます。この場合、通信キャリアとは協業者ということになりますが、近年は通信キャリア自身もDCサービスを提供するケースが増えていますので、一部競合します。もちろん当社の回線のカバー範囲であれば当社のものを使っていただくことも可能です。クラウド事業者は当社の重要な顧客である一方、彼ら自身でDCや通信ネットワークをもった場合は関係が微妙に変わってくることも考えられます。このように当社はさまざまなプレーヤーと組めるところは組み、競争するところは競争する関係にあるのです。
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