クレオは、2024年の創業50年に向け「新しいクレオ」への変革を進める。今年度(18年3月期)からは、連結子会社を再び吸収合併して事業会社に戻し、各事業のシナジーで次の成長ドライバーを求めるべく組織再編を断行した。今年度から3年間の中期経営計画の策定に携わり、4月1日付で就任した柿崎淳一社長は「100年続く企業にする」と、既存顧客約1000社へのクロスセルなどを高め、成長軌道へ導くことを目指す。
「柿崎やれ」「俺にしかできない」
──2017年4月に連結子会社5社を吸収合併して、新体制を発足しました。社長就任までの経緯を含め、阿南祐治・前社長(現代表取締役会長)の意思を受けて、新生クレオを率いていく気持ちをお聞かせください。
かなり前から、(技術畑でない)阿南(現会長)からは「構造改革はするが、中身をみていく必要がある」と聞かされており、技術をもっている人が(社長を)やるべきと聞いていました。さらには、今回の中期経営計画(2017~19年度)のなかで、持株子会社から子会社を吸収し事業会社に戻すことにしました。これらのビジネスも知っている人でないと立ちいかないことから、「柿崎(社長)やれ」(阿南会長)となったようです。基本的に、私は、すべて受け入れるタイプなんですよ。
1987年に入社(当時の社名は東海クリエイト)し、プロパーで30年以上勤めてきました。正直、「プロパーの人間としてクレオをよくしたい」という気持ちがありましたので、(阿南会長から指名された時)「じゃーやるか」となりました。事業再編をして一つにまとめるには、社内のいろいろな人間を知っていないといけない。子会社にわかれていたので、軋轢も出てくる。この壁を破るには、全社のいろいろな事業を知っている必要があります。私はこれまで、多方面で事業をやってきました。そういう人間が頭を張って、社員間の距離感を縮め、社員とシナジーを出しながらやっていくことに関しては、私がもっとも力を出せるところだと思いました。
──持株会社へ移行(11年)して、6年目で再び吸収合併するとなると、少なからず軋轢は出てきそうですね。
今回の事業再編は、ポジティブにみる社員がいる一方、ネガティブに感じる社員もいます。いままで、子会社別の個社最適化を進めてきて、それぞれに自立していました。6年経って、再び元のクレオの形に戻るのに際して、再編の目的を明確にする必要がありました。当社が成長するうえでは、エンドユーザーのビジネスを加速させないといけない。そうでなければ、クレオの存在意義がなくなる。こうした目的や意義をきちんと伝え、みんなが安心して仕事ができる環境をつくれるのは、「俺にしかできない」という気持ちがあります。
──今回の中計策定は、主軸で携わったとお聞きしております。そこで、まず質問したいのは、冒頭でも触れていましたが、なぜ、持株会社から再び事業会社に戻したのでしょうか。
クレオは、24年に「創業50周年」を迎えます。阿南(会長)を含め幹部で議論したのは、「一流企業とは、100年続く企業」であるとし、中計を回しながら100年続けるにはどうすべきかというのがコンセプトになっています。まずは、50周年を折り返し地点として、ここに向けて持続的な成長を可能にする「新しいクレオ」への変革を進めます。コーポレートロゴも、変えたんです(図参照)。
そのためには、お金を稼ぎ利益を上げ、一方で投資をし、株主に対しても還元するサイクルを回す必要があります。持株会社移行後の6年は、“個社の塊”で積み上げてきた売上高が連結で110億円程度、営業利益も3億円程度と、ほぼ横ばいで推移してきました。そんな状況下でもっと収益を上げるためにはどうすべきか。新製品を出せればいいが、やはりクレオは「ものづくりの会社」であり、ベースにあるのは開発力です。開発に対し、堅実で真面目。顧客には「逃げないよね」といわれる。人間系の部分が強い会社なんです。そうした目標を掲げるうえで、子会社が個別に動くだけでは成長しにくいと判断しました。
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