KeyPerson

「デジタルワークスペース」基盤で最高のパフォーマンスを

Omnissa Japan 代表執行役員社長

竹下雄輔

取材・文/藤岡堯 撮影/大星直輝

2025/07/07 09:00

竹下雄輔

週刊BCN 2025年07月07日vol.2066掲載

 米Omnissa(オムニッサ)は、旧米VMware(ヴイエムウェア)のエンドユーザーコンピューティング(EUC)部門が独立して設立された。仮想デスクトップ基盤(VDI)の「Horizon」、統合エンドポイント管理(UEM)の「Workspace ONE」を引き継ぎ、「デジタルワークスペース」を管理・運用するプラットフォームとして、訴求を強化している。日本法人Omnissa Japanのトップには、ヴイエムウェア時代から長らくEUC事業に携わる竹下雄輔氏が就任。「企業のワークスペースを安全に管理し、従業員が最大限パフォーマンスを発揮できる環境を実現する」と意気込む。
(取材/藤岡 堯  写真/大星直輝)

“ユニーク”な日本市場の声を聞く

──新会社としてスタートを切った今のお気持ちをお聞かせください。

 ようやく落ち着いたという感じですね。法人登記は2024年6月ですが、本格的に動き出したのは10月ごろになります。“Day 1”から従業員100人規模の組織となったものの、社内のレギュレーションや、日本市場で会社として存在するために必要なものが抜け漏れていました。本社と侃侃諤諤の交渉をしながら2カ月ほどでなんとか整理ができ、年末からやっと主要なお客様やパートナーにご挨拶ができた、という具合です。

──ご自身が日本法人のトップに就くことは想像していたのでしょうか。

 それはありませんでした。正直なところ、自分でもびっくりな流れです。ただ、グローバルで見ると、日本市場はユニークな存在であり、米国や欧州を中心にものを考えて戦略を練る人たちにとっては、本当の意味で理解はできず、しっかりと理解できる誰かがいないとカバーしきれないということなのでしょう。

 日本市場は、商慣習が違うことに加え、(ユーザー企業側ではなく)SIer側にエンジニアが多く存在し、お客様のIT環境の実装と運用はSIerなどのパートナーが担い、そこに(ソリューションの)ベンダーがぶら下がっている構図も特殊です。市場規模は米国に次ぐ世界2位ですが、本社からすると「なぜその構図で売れているんだ」と。

 一方、過去を振り返ると、VDI製品を積極的に導入していただいた日本のお客様の基準をフィードバックして品質が高まった事実を、今の経営陣は知っています。日本のお客様とパートナーのこだわり、要求事項は高いレベルですが、クリアできれば信頼してもらえるし、他国のお客様にも喜んでもらえる製品が実現できることを身をもって理解しています。その意味で、これまで以上に日本の皆さんの意見を反映できるようにしたいのだと感じています。

──国内市場の現状をどのようにみていますか。

 今はリモートワークが普通になり、働き方が多様化した状況において、VDIはどんどんと増える領域ではないとみていますが、最低限のセキュリティーを担保し、稼働を保証すべきシステムに向けては、残るべきソリューションでしょう。 他方で、端末が稼働する業務や場所は多様化しています。タブレットのほうが仕事がしやすい人もいれば、現場専用の端末が必要な人もいる。こういう端末も含めて「デジタルワークスペース」なのです。しかし、真の意味でワークスペースを横軸で考えている企業は少ないようです。大企業でもいまだに総務部がスマートフォンを管理し、統一的なITマネジメントのフレームワークを有していないケースはかなりあるでしょう。

 タブレットやスマホにしても、さまざまな機種、OSがあり、そういったものを企業内のワークスペースとして統一して管理できていないと、どこかに問題が生じても、その都度対応するだけで「デバイスを使っている人たちが被害を受けました」で終わってしまいかねません。

 企業全体で俯瞰し、従業員がスムーズに働き、パフォーマンスを最大限発揮できるワークスペースを提供できているか、という視点が不足しているのではないでしょうか。ここにわれわれは取り組みたい。企業が有するワークスペースを同じ次元で安全に管理し、従業員の皆さんが用途やロール(役割・立場)に応じて最大限にパフォーマンスを発揮できる環境の実現を目指しています。Horizonでは、よりフラットな位置を目指すために、「VMware vSphere」にこだわらず、さまざまなプラットフォームへの対応を拡大しますし、モバイルでは「Android」「iOS」などを含めて同じフレームワークで運用できるようにするということです。

 加えて、従業員体験を測定する部分は、われわれが先行しています。IT人材の少ない地方拠点では、例えばスマホがクラッシュしても「再起動してうまくいったならそれで良いのでは」というような運用がされていると思います。VDIではレイテンシーや使用しているアプリケーションとの相性、ディスプレイ上の発色といった部分で問題があっても、本社に伝わらないことはよくあります。

 そういった部分を広くカバーし、クラッシュ数もレイテンシーの問題もスコア化できるほか、全国で一番使われているアプリの特定も可能です。使用実績を基にしてソリューションの利用継続を判断するといった、コストの最適化にも役立つ情報が入手できるのです。
この記事の続き >>
  • 新プログラムは「パートナーにメリット」
  • 怒られるまでやればいい

続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。

(登録無料:所要時間1分程度)

新規会員登録はこちら(登録無料)

会員特典

詳しく見る
  1. 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
  2. メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
  3. イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
    SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
  4. 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!
  • 1

関連記事

米Omnissa、パートナープログラムを刷新 旧VMwareのワークスペース領域に特化

外部リンク

Omnissa Japan=https://www.omnissa.com/japan/