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IBM、JAST 大学向けASP事業を展開

2002/10/07 16:32

週刊BCN 2002年10月07日vol.960掲載

 日本IBM(大歳卓麻社長)と日本システム技術(JAST、平林武昭社長)は、大学向けのASPサービスを来年4月から本格的に始める。IBMのデータセンターを使い、JASTが大学向けのアプリケーションの開発・運営をする。来年度(03年3月期)には50大学の受注を目指す。私立大学を中心に、学生の満足度向上の道具としてITの近代化を図る動きが活発化しており、「自前でサーバーを運営するより3分の1から4分の1のコストで最新の情報システムを利用できるようになる」(IBM)のが売り。

50大学の受注目指す

 私立大学の情報化投資市場では、富士通が約40%を抑え、その次にNECが名を連ねる。日本IBMは、JASTと組み、国産ベンダーの牙城切り崩しに注力する。その先兵となるのが今回のASPサービスである。

 IBM文教事業部の北島司事業部長は、「月額20-30万円からASPサービスを利用できる手軽さにする」と、まずは価格で訴求する。

 JASTは、大学向けのパッケージソフト「ガクエンシリーズ」の開発を手がけ、おもに中小規模の基幹系システムを中心に、これまで全国約200学校に納入した。最近では、学生サービスに主眼を置いたウェブ履修登録や休講情報、学内掲示板など、情報系システムを拡充している。日本IBMは、自社での大学向けパッケージは手がけず、主にJAST製品を担ぐ形で、同市場を攻める。

 JASTの平林社長は、「中小の大学は、システム管理者や予算枠に限りがある。まずはASP方式による基幹系システムを足がかりに、ASPサービスの品揃えを増やす」と話す。

 日本IBMでは、来年度(04年3月期)までに50大学からの受注を目指し、最終的には200大学からの受注を目指す。「すでにJAST製品を何らかの形で利用している学校が全国に約200大学ある。これの一部をASP化することは十分可能」と自信を示す。

 日本IBMのパッケージ戦略が奏功してか、今年度(02年12月期)の商談のうち、新規商談(他社の置き換え)が約半分を占める。「他社のつくり込みと違い、当社は出来合いのパッケージを主体としているため価格が安い。売り上げで見れば、今年度は前年比で20-25%増程度」という。

 ガクエンシリーズは、今年度(03年3月期)78億円の同社売り上げ見込みのうち14億円(前年比16%増)を占める。
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