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日本IBM 7Uのブレードサーバー発売へ

2002/11/04 16:37

週刊BCN 2002年11月04日vol.964掲載

規格標準化の主導権獲得狙う

 日本アイ・ビー・エム(日本IBM、大歳卓麻社長)が、ブレードサーバー規格の標準化を打ち出した。ブレードサーバーは、複数のサーバーを高密度実装により小型化する技術。何U(台座の単位)のサーバーラックに何枚(台)のブレードサーバーを収納できるかがポイントとなる。今年12月に販売を始める日本IBMのブレードサーバーは、7Uの高さの台座にブレードサーバーを14枚(台)実装できる。現状では各社のブレードのU数はバラバラで互換性がない。日本IBMでは、「7Uのサイズを事実上の標準(デファクトスタンダード)にすることで、ブレードサーバー分野で有利なビジネスを展開する」と、標準規格化を狙う。

 NEC製のブレードサーバーは3Uサイズに6枚を実装、日立製作所製は2Uに16枚、ビジュアルテクノロジー(川股要一社長)は2Uに24枚のブレードサーバーを実装する。12月に日本IBMが発売するブレードサーバーは7Uに14枚と、各社ともそれぞれ独自にブレードサーバーのU数=大きさを決めている。

 日本IBMでは、ブレードサーバーの筐体(シャーシ部分)の標準化を図ることで、(1)他社の無停電電源装置(UPS)やルータなどの通信機器を1台の筐体に収納できる、(2)7Uの高さがあればジーオンクラスのCPUが搭載でき、本格的なIA(インテルアーキテクチャ)サーバーが組める、(3)結果的に7U以外のブレードは売れなくなり、日本IBMにとって有利な展開が可能になる――などの効果が得られると考える。

 システム製品IAサーバー&PWS事業部の岩井淳文事業部長は、「U数の規格を制したベンダーがブレード市場を制する。日本IBMの7U規格は、インテルとの提携の下に決まったサイズ。ジーオンを2台搭載し、本格的なサーバーに仕立てるとすれば、必然的に7Uのサイズに帰結する」と自信を示す。

 7Uの標準化に向けて、日本IBMでは、「すでにブレードを製品化しているベンダーに働きかけるのではなく、UPSやルータなどのサーバー周辺機器、通信機器のベンダーに、7Uブレードサーバー向けの製品化を働きかけることで“外堀を埋める”戦略を進める」(岩井事業部長)と話す。

 7Uのシャーシのなかに、ブレード機能だけでなく、UPSやルータなどサードベンダー製品も含め、一通りの機能を備えることで、他社との差別化につなげる考えだ。

 ブレードサーバー業界で、「やってはいけないこと」となっているのが、「従来の1Uサーバーの置き換え」である。

 ブレードを「小型」で「安い」ということだけで売り込むと、単なる1U薄型サーバーの置き換えに陥り、新しい市場を創出できない。これでは、わざわざ開発費を投じてブレードを開発した意味がない。データセンターでも、不況の煽りで、収納スペースは余っている。

「1Uサーバーの置き換えでない市場とは、つまり、ティア2(ツー)と呼ばれるアプリケーションサーバー市場である。安価な1Uサーバーはティア1(ワン)と呼ばれるキャッシュサーバーやファイアウォールサーバーなどに使われることが多い。ブレードはその上のクラスであるティア2を狙うべき。このためには、最低でもジーオンを搭載し、SAN(ストレージエリアネットワーク)に接続するファイバチャネルを装備すべき」と話す。

 ジーオン2基とファイバチャネルを装着し、ティア2のアプリケーションサーバーに仕立てるには7Uのサイズが必要で、「今後、ブレードサーバーの主流は7Uに集約する」(岩井事業部長)と自信たっぷりだ。
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