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伊藤忠テクノサイエンス データセンターの地震対策ビジネス

2002/12/09 16:49

週刊BCN 2002年12月09日vol.969掲載

 伊藤忠テクノサイエンス(CTC、後藤攻社長)が、データセンターの地震対策と保険料率との連動を模索している。

 同社はここ1年間、米ワークセーフテクノロジーズの衝撃吸収土台「アイソ・ベース」(1セット30-40万円)を販売してきた。これは、データセンターなどのサーバの下に設置することで、横揺れの衝撃をサーバに伝えない特殊な土台。マグニチュード8.3クラスの横揺れにも耐えられるという。

 米国では、地震の多い西海岸地区を中心に、ボーイングやAT&Tワイヤレスなど大企業のデータセンターを中心に1万2000セットが売れた。

 国内でも大手企業を中心に採用が広まっているものの、米国ほどの勢いでは普及していない。この背景には、保険料率との連動がないのが原因のひとつになっている。

 CTCの横山誠・基盤システム営業推進本部サーバ営業推進部担当部長は、「米国では、データセンターの安全性を高めれば、保険料率が下がる制度が進んでいるが、日本ではまだ進んでいない。今後、アイソ・ベースを導入したデータセンターの保険料率が下がる仕組みが確立できれば、さらに大きなビジネスへと結びつく」と話す。

 親会社の伊藤忠商事は、昨年6月から、デロイトトーマツコンサルティング、監査法人トーマツと提携し、データセンターなど顧客業務を請け負うアウトソーサー向けに「IT保険連動型システムリスクマネジメントサービス」を始めた。

 地震対策で「万が一に備える」だけでなく、「保険料など具体的なコスト削減策とうまく結びつけられれば、顧客の費用対効果が高まり、販売数倍増も狙える」(横山担当部長)と話す。
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