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日本IBM ノーツ拡販テコ入れ 中堅・中小市場で巻き返し J2EE武器に基幹連携強化

2004/11/01 21:15

週刊BCN 2004年11月01日vol.1062掲載

 日本アイ・ビー・エム(日本IBM、大歳卓麻社長)は、中堅・中小企業市場におけるグループウェア「ロータスノーツ/ドミノ」の拡販に力を入れる。ここ数年、サイボウズなど中堅・中小企業に強いベンダーに押され気味だったが、JavaのプラットフォームであるJ2EEをベースに基幹系システムとの連携を強化するなど、日本IBMの強みを前面に出していくことでシェア拡大に結びつける。

 ロータスノーツ/ドミノは、同事業の売上高のうち半分弱を大企業向けが占め、半分強を中堅・中小企業向けが占める。だが、中堅・中小企業向けでは、サイボウズやネオジャパンなど有力国産ベンダーやマイクロソフトなどと激しいシェア争いを強いられている。

 これに対抗するため、日本IBMではJavaのプラットフォームであるJ2EEをベースとした基幹系システムとの連携を強化し、「グループウェアは財務会計や販売管理など基幹系システムの一部」(澤田千尋・ソフトウェア事業ロータス事業部事業部長)と位置づけ、同社の強みである基幹系システムとの連携強化を進める。

 来年4月をめどに販売を始める予定の次期製品“バージョン7”では、IBMのデータベースソフト「DB2」への対応に加え、将来的にはオラクル製のデータベースにも対応していく。広く普及しているデータベースに対応することで、基幹系システムとの連携をより容易にする。これまで、こうしたメジャーバージョンアップの間隔は不定期だったが、市場動向を迅速に追跡するため、今後は毎年定期的なメジャーバージョンアップを実施する。

 SAPやオラクルEBSをはじめとするERP(統合基幹業務システム)などのアプリケーションとの連携強化については、「J2EEプラットフォーム上での対応を進める」(同)と、個別のアプリケーションごとに対応するのではなく、J2EEというオープンなプラットフォームを媒介としてデータ連携などを進める。

 澤田事業部長は、「電子メールやワークフローシステムが停止するとビジネスに悪影響を与える。基幹系システムと同様に重要なシステムであることを顧客に訴求していく」と、基幹系システムと同水準の重要な投資対象であるべきだと話す。ロータスノーツ/ドミノは、新興のグループウェアベンダーの製品に比べると割高という印象が強く、これを払拭するために基幹系システムとの連携強化を通じた付加価値の拡大に努めていく方針。

 ロータスノーツ/ドミノの販売パートナーは全国に約200社あり、こうしたパートナーが開発したロータスノーツ/ドミノ向けの業務アプリケーションはこれまで100種類以上ある。

 充実した販売チャネル網や対応アプリケーションの多さも差別化の重要なポイントとして訴求していく。ロータスノーツ/ドミノのユーザーや日本IBMのビジネスパートナーなどで構成する「ノーツコンソーシアム」(窪田征夫会長=富士ソフトABC取締役、会員数約160団体)のさらなる活性化に向けた支援策も充実させる。
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