ITスキル標準(ITSS)の普及促進団体である特定非営利活動(NPO)法人、ITSSユーザー協会(唐津一会長)は、企業がITSSを適切に利用できるように、導入支援コンサルタントの認定制度を始める。同協会がITSSを導入するために必要な知識とスキルを独自に定め、そのスキルを持つ人材を導入支援コンサルタントとして認定する。ITSSは普及が徐々に進んでいるものの、同協会では「適切な導入・運用が行われていないケースが多い」と分析。認定コンサルタントが導入支援を手がけることで、各企業が人材育成戦略に沿った形でITSSを適切に導入・運用できるようにする。年内までに認定制度の具体的な内容をまとめる。

年内に具体的内容まとめる

 ITSSユーザー協会が計画する認定コンサルタント制度は、ITSSを企業が適切に導入するための支援が行える専門コンサルタントの育成が目的。ITSSを利用者の立場から熟知している同協会が、企業がITSSを導入する際に必要な知識やスキルを明確に定めて、そのスキルを持つ人材を導入支援コンサルタントとして認定する。認定を受けたコンサルタントは企業に対して導入支援コンサルティングサービスを提供することで、適切な導入・運用を促す。

 経済産業省や情報処理推進機構(IPA)の賛同を得て、必要なスキル項目や運営体制、認定方法などの詳細を今後詰め、年内までに具体的な内容を決める。

 現在、ITSSを導入するためのコンサルティングサービスは、複数のITベンダーから提供されているが、ITSS導入支援サービスのための資格制度や認定制度はない。コンサルティング会社やITベンダーが独自にコンサルティングサービスを手がけているものの、適切な導入のために必要なスキルは明確に定められていないというわけだ。制度化されることで認定を受けたコンサルタントは、「ITSSユーザー協会認定コンサルタント」としてサービス提供できるようになり、差別化にもつながる。

 ITSSが発表されてから約2年8か月が経過したが、同協会では「ITSSの基本的な知識を持たないため、適切に導入・運用されているケースが少ない」(高橋秀典・ITSSユーザー協会専務理事=スキルスタンダード研究所社長)ことを懸念している。たとえば、「診断ツールを利用して各社員のスキルを採点し、人事制度に反映させているケースが多い」(高橋専務理事)など、人材育成の観点から利用している企業が少ないという。この状況の打開策として、コンサルタントの認定制度を導入することにした。

 IPAの調査によると、「ITSSを導入している」と答えた企業は12.0%にとどまっている。同協会が認定コンサルタント制度を設け、適切な導入・運用を行い、ITSSを使ったIT人材育成の成功事例を増やすことで利用メリットをアピールし、普及に弾みをつけたい狙いもある。

 ITSSは、IT関連サービスに必要なスキルを明確化・体系化した指標。企業はITSSで定めている指標をもとに、自社の人材にどのスキルが足りないかを把握でき、強化すべきポイントや具体的な教育プランの作成に役立てることができる。

 ITSSユーザー協会は、経済産業省が「ITスキル標準(ITSS)ver1.0」を発表した1年後の2003年12月に発足した。ITSSの普及促進を目的に、利用者側の視点からITSSの内容を分かりやすく説明するなどの啓蒙活動に取り組んでいる。また、適切な導入手法の調査・研究、導入企業の成功事例なども公開している。IT企業を中心に正会員、準会員合わせて155会員(05年8月2日時点)で組織している。