【上海発】マイクロソフトとグーグルの衝突は、李開復博士の“転職事件”が初めてではない。李博士がグーグルに入社できるかどうかが訴訟の焦点となっているが、本当は、マイクロソフトはグーグルの出鼻を挫こうとすることが目的であり、以前から陰に陽に続いている両社の争いの一環に過ぎないと言われている。

背景には人材の流出問題も

 背景の1つである人材の流失問題。最近、グーグルは業績好調で、株価は300ドルを超えている。マイクロソフトからグーグルに転職した人も少なからずいる。

 一方、これまでヘッドハンティングが得意だったマイクロソフトにとっては、このような状況には慣れていない。特に副総裁が引き抜かれたことで堪忍袋の緒が切れ、訴訟を起こしたとされる。2つ目の背景としては、「デスクトップ統治」の争いがある。パソコン時代にOSは非常に重要なものである。マイクロソフトはOSの独占的地位をうまく利用して「ソフトウェアの巨人」になり、パソコンのデスクトップを「統治」するようになった。

 しかし、インターネット時代に入ってからは、検索ポータルサイトは、ユーザーによる情報入手には不可欠となった。ある意味で、検索エンジンが「インターネットデスクトップ」の地位を占めている。さらに、グーグルが発表しているツール「グーグルデスクトップサーチ」も、マイクロソフトを不愉快にさせるものだ。

 一方でマイクロソフトも検索分野に進出しようとしており、グーグルの躍進を阻止するため、マイクロソフトは今回の事件を利用する可能性もあると指摘されている。

 この「事件」は、中国でのパソコン・ネットサービスの覇権争いにも絡んで、その成り行きが注目されているのである。(魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所担当))