NEC販売特約店の栃木シンコー(金子正二社長)は、農業協同組合系の業務システム構築で業績を伸ばしている。リーマン・ショック以降、製造業などの民需の冷え込みが続くなか、地域のSIerの多くは公共系のITビジネスで業績維持に努める。栃木シンコーの地元である栃木県は、もともと民需が大きい地域ではなく、早くから農協など公共分野の開拓を進めてきた。こうした取り組みが功を奏して「不況の直撃はなんとか避けることができた」(金子社長)と、胸をなで下ろす。

他県展開などで課題も

 直近の決算(2009年7月期)は、民需系で一部落ち込みのマイナス影響などを受けて、売上高は前年度比約1割ほどダウンした。だが、ここ数年、ソフト・サービスやアウトソーシングサービスなど収益力のあるビジネスの拡大に力を入れてきたことから、「利益ベースでのマイナスインパクトは少ない」と話す。

金子正二社長

 主力ビジネスに育ってきた農協系では、組合員が種や肥料、農機具を購入するときに使う「購買システム」の構築を2000年初めに受注。以来、保守サービスなど地元SIerならではのきめ細かいサービスを提供。この成果もあり、今年4月から第二次のバージョンアップ案件を受注し、県内10農協に向けた実装作業を進めている。来年1月までには完了する予定だ。

 公共系ITビジネスでは、後期高齢者医療制度の関連書類の印刷業務などのアウトソーシングの実績をもつ。栃木市は、近隣の大平町や藤岡町などと10年3月をめどに合併する予定で、これに伴う通信ネットワークインフラの一部整備なども請け負う。後期高齢者医療制度については、新政権のマニフェストですでに見直しが決まっており、制度変更に伴うITシステムの手直しや新規のアウトソーシング需要が見込まれる有力分野。こうした領域でのこれまでの受注実績を生かしたビジネス展開が期待できる。

 課題は、売り上げの大半が栃木県内に集中していること。業種別では農協、自治体、民需の三本柱のバランスが、今は公共系に比重が偏りつつある点などが挙げられる。

 同社では農協や自治体などでの実績や、ビジネスパートナーであるNECの全国ネットワーク網との連携による県外へのビジネス展開を模索。NECと接点のある他県のソフト会社との連携ビジネスはすでに始まりつつあり、「県内外での民需系ビジネスの拡大」を通じて、エリア展開や業種のバランスをとっていく方向性を示す。(安藤章司)