市場規模は小さいが、不景気のなかでも成長するPC資産管理市場。IT調査会社のテクノ・システム・リサーチは、このマーケットを有望とみて市場調査を初めて実施した。メーカー、販売会社、ユーザー企業をそれぞれ独自視点で調査・分析した同社の藤・武志アナリストにユーザーとメーカーの動きを聞いた。(取材・文/木村剛士)
アナリストが専門調査を実施
――資産管理や運用管理市場の調査レポートは多いが、PC資産に特化した調査は珍しい。  |
| 藤崎武志 アナリスト |
藤崎 PC資産管理市場は有望株だからだ。他社の調査はサーバー管理などを含んだものが大半で、総花的な内容が多い。2013年までの年平均成長率(CAGR)は7%とみている。ユーザー企業は、PCのセキュリティ対策に高い関心を示しており、それに関連して資産管理ソフトの導入を非常に前向きに検討している。調査のなかで、購入意欲を聞いた設問では、「今すぐに購入する」との回答が29.1%にもなった。これは他のジャンルに比べて圧倒的に高い数値だ。
――購入意欲が高いユーザー企業の従業員規模は。
藤崎 以前は従業員数300~1000人が中心だったが、今は100人未満の中小企業からの需要が旺盛だ。
――中小企業は、SaaSやクラウドなどを、サービスとして利用したいと考えているのか。
藤崎 いや、そうではない。SaaSやクラウドへの関心は、大企業のほうが高い。中小企業では、クラウドやSaaSに対する期待値は低く、依然としてソフトウェアの導入を考えている。
――メーカーの動きはどうか。
藤崎 市場が活況なだけにメーカー数も増加している。2007~08年にかけて新規参入するメーカーが一気に増えた。海外市場では、PC資産管理ツールを開発・販売する企業は3社程度だが、日本では40社は存在する。
――今、活発な動きをしているメーカーはどこか。
藤崎 Skyだ。他社に比べてライセンス料も保守費もかなり安価で、PR費用もかなり投じている。シェアは日立製作所やエムオーテックス、富士通、クオリティにまだ遠く及ばないが、伸び率は高い。市場を活性化させるキープレーヤーになっている。
――PC資産管理ツールの差異化ポイントは何か。
藤崎 正直にいえば、各社ともに機能はほぼ同じで、差異化ポイントは見出しにくい。チャネル戦略やマーケティング施策が勝敗を分ける要素になるだろう。