ソフトウェア開発、コンピュータ販売などを手がけるマルマンコンピュータサービス(長内睦郎社長)は、地元青森県下の企業に対し、SaaSでのシステム提供を検討中だ。昨今の不況により、顧客のIT投資が滞り、システムリプレースが進まない状況を見据えて、支援策を提供するとともに、自社の技術力を高める策としたい考えだ。

SaaSの社内導入含め検討進める

 マルマンコンピュータサービスは、看護業務支援システム「ナース物語」シリーズを20年前から投入しており、全国の100~1000床ほどの医療機関を中心に550機関に導入した実績をもつ。地元弘前市内の企業10社以上に対しても、販売管理、在庫管理など、幅広い業種に対してシステムの受託開発を行っている。08年後半からの不況で、地元企業では経済縮小によって、ITに対して十分な投資ができない状況が続いている。「システムのリプレースを行おうとしても、大規模システムでは3000万~4000万円のコストがのしかかる。予算を組むことができず、これまでのシステムを引き続き使い続ける企業が多い」と、工藤寿彦常務取締役は現状を話す。その解決策として視野に入れているのが、SaaSの提供だ。

 同社ではこれまでVisual Basicや、.NETによるソフトウェア開発を行い、実績を積み上げてきたが、一方で「技術が偏っているのが課題でもある」(工藤常務)ことから、新しいサービスモデルの展開によって、技術スキルにも広がりをもたせたいとも考えていることも背景にある。

 顧客に対しては順次説明を進めているというが、SaaS自体にどの程度のニーズがあるかがわからないだけでなく、技術力を高めるうえで過渡期にあること、自社でSaaSを提供するにはインフラ構築など、膨大な初期投資が必要とされることから、解決すべき課題も多い。「SaaS/ASPは毎月決まった額が売り上げとして計上されるストックビジネスとして注目度が高いが、回収するためのユーザーの母数を増やさなければ投資回収が見合わない場合にどうするかが考えどころだ」(工藤常務)。これまではマイクロソフト系の技術を中心としてきたが、最近ではLinuxを使い、高いセキュリティの担保が必要とされる個人情報を扱うウェブサイトを開発する案件なども手がけている。

 マルマンコンピュータサービス自身も社内サーバーが老朽化し、サーバー統合を含めた見直しを行っている。その一環として、SaaSを評価するために社内導入を行い、まずは販売・在庫管理システムのSaaS化を視野に入れる。工藤常務は「SaaSは社会貢献的な意味合いも強い。青森県は企業収入、所得の低い地域でもある。県内企業や自治体に対し、SaaSの評価結果を含めてアピールしていきたい」としている。(鍋島蓉子)