アイ・ティ・アール(ITR、内山悟志代表取締役)は、国内統合基幹業務システム(ERP)市場に関する調査結果を発表した。

 国内ERP市場全体の市場規模は、2010年度が前年度比4.7%増の762億円で、2011年度が同7.8%増の約822億円と予測する。景気が回復しつつあることを受けて、IT投資が徐々に拡大していることが市場伸長の背景となっている。大企業向けはグローバル・システム化に伴う基幹システムのリニューアル、中堅企業向けはレガシーのリニューアルとグローバル・システム対応がその原動力となっているとみる。

 中小企業向け国内ERP市場の2010年度の出荷金額は前年度比18.9%増の170億円で、他の企業規模向けERP市場を上回る大幅な伸びを示した。これは、ここ数年の景気後退に伴い抑制傾向にあったパッケージのリプレース需要が2010年に回復したためで、2011年度もリプレースを中心に11.2%増の伸びを予想する。

 2011年度の中小企業向けERP市場のベンダーシェア(予測値)は、2009年度から3年連続して上位3社が半数のシェアを占める寡占市場となる見込み。オービックビジネスコンサルタント(OBC)が2010年度に引き続き首位を堅持し、21.1%のシェアを獲得するとみる。2位には会計分野に強いミロク情報サービスが続き、18.0%とシェアを拡大。1位であるOBCとの差を縮めつつある状況だ。3位のOSKはパートナーへの販売が拡大しており、2010年度に続いて出荷金額を大きく伸ばすと予測する。

 ITRの浅利浩一プリンシパル・アナリストは、「中小企業向けERP市場は、本来SaaS型ERPが最も伸びる潜在力を期待できる市場でありながら、提供形態別でみたSaaS型のシェアは、大企業向け、中堅企業向けの市場に比べて低く、2%程度にとどまっている。いったん導入したら安定して利用できるパッケージ製品を超える大きなメリットを提示できなければ、SaaS型が大きく伸びることも、ベンダー別シェアの勢力図を大きく変えることも難しい」と分析している。(信澤健太)

中小企業向けERP市場ベンダーシェア(2011年度予測・出荷金額ベース)