アイ・ティ・アール(ITR、内山悟志代表取締役)は、国内企業を対象に、2011年9月から10月にかけて実施した国内IT投資動向調査の結果の一部を発表した。

 2011年度、IT予算額を前年度と比べて増額したとする企業(20%以上および20%未満の増加の合計)は24.8%と、2010年度(24.9%)とほぼ同水準となった。一方、前年度から減額したとする企業(20%以上および20%未満の減少の合計)は2010年度調査の26.6%から20.5%に下降し、全体として若干のプラス成長となった。

 2012年度は、IT予算の増額を見込む企業が23.4%と下降する一方、減額を見込む企業も減少。総合的にみて、2011年度と同じか、やや上回る水準でのプラス成長を見込む。

IT予算額増減の経年変化(2010~2012年度予想)

 IT予算の増減傾向を指数化した「IT投資指数」は、2010年度も0.04から若干上向いて、2011年度の実績値は0.60となった。2010年度調査での予測値(1.44)には達しなかったものの、2011年3月に発生した東日本大震災によって多くの企業が事業戦略の見直しを迫られたことを考慮すれば、わずかとはいえプラス成長となったことを評価すべき、とITRは指摘する。

 しかし、2012年度に向けた予想では0.83と小幅な上昇にとどまっており、今後の国内企業のIT投資が低成長で推移することをうかがわせる結果となった。

IT投資指数の変化(2001~2012年度予想)

 企業の売上高に占めるIT予算比率では、2011年度は2010年度を0.2ポイント上回る3.0%となり、5年ぶりに3%台に上った。ただし、この数値については分母となる売上高が伸びなかったことが影響したとも考えられるという。定常費用(運用・管理など定常的に発生する費用)を100としたときの戦略投資額(新規システム構築、大規模なリプレースなどに充てられる費用)の比率も上昇し、過去最低となった2010年度(50.1)からもち直して62.0となった。リーマン・ショック以降、続けられてきた各企業の定常費用の削減努力が、ここにきてようやく実を結びつつある結果だ、とITRは指摘する。

 今回の調査で、大きな変動がみられたのがリスク対策費用の比率だった。IT予算に占める「情報セキュリティ対策費用」と「災害対策費用」の比率は、いずれも2010年度から大きく上昇し、前者は12.5%、後者は7.0%となった。とりわけ災害対策費用は、この項目の調査を始めた2006年度以来最高の値を記録。東日本大震災で、多くの企業が災害対策を強化したことがみてとれた。情報セキュリティ対策についても、国内企業で個人情報や機密情報の大規模な流出事故が相次いだことで、改めて高い関心が集まったという。(信澤健太)

IT予算に対する情報セキュリティ対策費用および災害対策費用の割合の経年変化