オービックビジネスコンサルタント(OBC、和田成史社長)は、中堅企業向け統合基幹業務システム(ERP)「奉行V ERP」とウイングアークテクノロジーズ(内野弘幸社長)のデータ活用ソリューション「Dr.Sum EA」を連携した分析パッケージソリューション「Dr.Sum EA for 奉行V ERP」を販売している。両社の担当者に、協業の狙いを取材した。

 「Dr.Sum EA for 奉行V ERP」は、レポート作成業務の効率化とレポーティング分析ができるパッケージ。会計報告テンプレート、“動く”会計レポート、「奉行Open-DB」の活用の三つを特徴とする。

 推移表や対比表、予算実績対比表、仕訳明細一覧表など、利用頻度の高い16種類の会計報告テンプレートを実装し、会計システムからのCSVデータの抽出やExcelでの加工の削減を通じて作業効率を向上させる。「勘定奉行V ERP」に登録したデータは集計専用データベース(DB)「奉行Open-DB」を経由して、「Dr.Sum EA for 奉行V ERP」に格納。日次バッチでデータを処理し、見たいときにそのつどレポートを作成する必要がない。

 会計報告テンプレートでは、科目層、部門階層、年度・四半期・月度項目など、集計条件設定項目から表示したい項目を選択。集計したデータは部門やセグメント単位で深掘りできる。データ項目を自由に“動かす”ことでデータを異なる観点で分析したり、根拠数値となる明細データを容易に確認・把握したりでき、非定型レポートの作成に即時に対応する。

 「Dr.Sum EA for 奉行V ERP」には、「奉行Open-DB」と直接連携する接続モジュールと専用DBを用意する。データは集計・加工しやすい状態で「奉行Open-DB」に格納するので、データ加工やクレンジング加工は不要だ。大容量データの集計にも長けており、クライアントPCのスペックに依存しない。このほか、要件定義する必要がある次元設計なども一切不要だ。

 ウイングアークテクノロジーズの小島薫BI事業部事業部長は、BI(ビジネスインテリジェンス)の導入を阻んできた二つのハードルをこう指摘する。「他システムからのデータの取り込み作業が最も大きな課題。加えて、何をどのように分析したらビジネスに価値を見出せるのかという難しさがある。『奉行Open-DB』と会計報告テンプレートが、これらの課題を解消する」。

 OBC営業本部の西英伸マーケティング推進室室長は、「当社が中堅企業市場に進出するなかで、これまではOESP(開発パートナー)が『1帳票でいくら』というかたちで対応していた。中堅企業市場で高い支持を得ているウイングアークテクノロジーズと組むことで、市場拡大の可能性を広げることができる。開発を極力減らすことで、圧倒的な価格競争力が生まれる」と協業のメリットを語る。価格は、年間保守や指導、セットアップを含めた最小構成で250万円から。このほか、「奉行Open-DB」や「勘定奉行V ERP」の導入が必要となる。

 お互い異なっていた両社のコアターゲット層に対して、補完し合う状況も生まれている。「奉行V ERP」は年商50億円~500億円の企業が中心ユーザーで、「Dr.Sum EA」は年商300億円~1000億円に強い。協業を通じて、「攻めたい企業層が重なりつつある」(OBC営業本部マーケティング推進室の植手大輔マーケティンググループリーダー)。

 協業を受けて発表したプレスリリースには、BIの字句を盛り込むことを意図的に避けたという。植手マーケティンググループリーダーは、「中堅企業にはBIを訴求するよりも、基本的な帳票を経営に生かしてもらえるように努めている」と説明してくれた。(信澤健太)

(左から)ウイングアークテクノロジーズの小島薫事業部長とオービックビジネスコンサルタントの西英伸室長