ロードバランサ(負荷分散装置)を提供するF5ネットワークスジャパン(アリイ・ヒロシ社長)は、ローエンド市場の開拓に乗り出す。主力製品群「BIG-IP」に138万円からの価格で提供するエントリモデルを追加し、9月に発売。あわせてパートナー体制の拡大に取り組む。

アリイ・ヒロシ社長

 「BIG-IP 800」は、ネットワークを流れるトラフィックを分散処理する基本機能を備えながら、これまでの最低価格モデルだった「BIG-IP 2000s」(299万円から)から価格を半分以下に下げた製品。

 ハイエンド市場を得意とするF5ネットワークスジャパンがローエンド市場での攻勢を決断した背景には、A10ネットワークスなど競合他社が低価格モデルを展開してシェアを伸ばし、首位を走るF5ネットワークスジャパンに迫りつつあることがある。

 「BIG-IP 800」は日本市場のために独自に開発した製品で、日本だけで展開する。アリイ・ヒロシ社長は、「米国本社を説得するには時間がかかったが、従来の高価格のポートフォリオでは日本市場のニーズに十分に対応できないことを強調し、開発の決定につなげた」と経緯を述べる。

 エントリモデルの主なターゲットは、基幹システムにF5を使い、ECサイトなどの顧客向けのシステムで低価格製品を求める企業のほか、価格競争の激化によって安価なIT機器への需要が高まっているクラウドプロバイダなど。

 アリイ社長は、「これまで当社は適切な製品がなく、参入することができなかった市場セグメントのボリュームを60億円とみている」として、「BIG-IP 800」の発売をきっかけに、ビジネスを加速する。ローエンド市場の開拓を柱の一つとして「2015年には、50%以上のシェアを取り戻したい」と意気込む。

パートナー営業本部本部長の嘉規邦伸執行役員

 「BIG-IP 800」の発売に合わせて、ローエンド市場に強い販売体制を立ち上げる。11月にパートナープログラムを改訂し、製品の販売はしないが、現場での設計・設置を手がけるパートナーを支援する新カテゴリ「Integration Partner」を設ける。パートナーの数を現在の30社から、2年後をめどに、100社に増やす方針だ。

 「Integration Partner」の対象となるのは、下請けなどのかたちで販売パートナーの延長線上で動くインテグレータ。F5ネットワークスジャパンは、彼らに対する技術トレーニングを徹底し、F5製品の設計・設置に強いプロ集団を育てる。Integration Partnerの構築スキルを武器に、販売パートナーにF5製品を積極的に提案することを促す。

 パートナー営業本部 本部長の嘉規邦伸執行役員は、「F5製品を販売したくても、設置ができるエンジニアがいないので販売できない、というパートナーがたくさんいる。『Integration Partner』の新設を、技術者不足の問題の解決と、提案の活性化につなげたい」としている。(ゼンフ ミシャ)