ITホールディングス(ITHD)グループに属するアグレックスのベトナムでのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業が本格的に立ち上がってきた。ベトナム大手SIerのFPTソフトウェアとの合弁で手がけている事業で、2015年に約500人体制、2017年には約700人体制へと拡大させる計画を立てている。日本向けのオフショアソフト開発に力を入れているFPTソフトは、近年、BPO事業の立ち上げにも熱心に取り組んでおり、BPOの老舗ベンダーであるアグレックスと組むことで事業に弾みをつけようとしている。

竹内伸之 CEO
 アグレックスのBPO事業は、これまで国内の人的リソースを中心に活用してきた。だが、BPOのなかでも、人手のかかるデータ入力系の作業は、国内の単価では採算が合いにくくなっており、「中国などで大規模なデータ入力体制を構築している同業他社に仕事を譲らざるを得ないこともある」(FPTソフトとの合弁会社であるF-AGREX GLOBALの竹内伸之CEO)という経緯があり、悔しい思いをしてきた。

 そこで、中国の人件費のおよそ半分といわれるベトナムに着目。かねてからオフショアソフト開発でITHDグループと深い関係にあるFPTソフトとの対日BPO専門の合弁会社を、2013年10月に設立した。アグレックスがこれだけの規模で海外にBPO拠点を開設したのは今回が初めて。すでに150人を超える人員に拡充し、日本語入力で業務をこなすことができる体制整備までこぎ着けている。中国よりもコストメリットが生かせるベトナムで、一定規模以上のBPO業務を受託することによって競争力を高め、「中国との競争で負けていた部分を、ベトナムBPOによって取り戻す」(竹内CEO)と意気込んでいる。

 だが、漢字を共有する中国でのデータ入力ではスムーズにいった部分も、漢字をすでに使わなくなったベトナムでは高いハードルとなる。アグレックスは国内でも使っている入力手法「KANPS」を合弁会社F-AGREXにも適用し、カタカナ2文字を組み合わせることで通常業務で必要とされる約2500字の漢字を入力できるようにした。例えば「ウミ→海」「リバ→川」「スク→校」という具合に、「川」の英語の「リバー」、「学校」の「スクール」といった英語の発音から漢字を入力していくなど、「漢字をまったく知らない外国人でも入力できる」のが特徴だ。

 今は単純なデータ入力作業が中心だが、中国同様、ベトナムでも人件費の高騰は続いており、BPOに付加価値をつけていく必要がある。国内では夕方に受領した申請用紙を夜間のうちに入力し、翌日朝にデジタルデータで納品したり、ユーザーの顧客管理システムに、直接、データを入力するなど、顧客の業務と一体化した付加価値を数多く取り入れている。ベトナムでも国内同様のきめ細かなサービスや、将来的にはASEANに展開する日系企業向けサービスを視野に入れるなど、ベトナムを拠点とするBPO事業を継続的に伸ばそうとしている。(安藤章司)