データセンター(DC)運営のKVH(東瀬エドワード社長兼CEO)が、SIerやソフト開発ベンダー(ISV)との連携強化に乗り出した。KVHはDC設備や通信ネットワーク、アジア市場をカバーするDCサービス網などのITインフラに強みをもっている。これに対してSIerやISVは、さまざまな業種・業態のユーザー企業に最適な情報サービスを提供するのが本業なので、「当社のITインフラとSIer、ISVがもつ業種ノウハウの連携というかたちで相乗効果を高めることができる」(KVHの妻鹿行雄・パートナー営業推進本部長)と判断した。直販をメインとする従来方式に加え、SIerやISVなどのビジネスパートナーとも積極的に組んでいく。

妻鹿行雄
パートナー
営業推進本部長
 ビジネスパートナーと連携した取り組みでは、例えば同業者のリンクが提供しているクレジットカード向けの規格「PCIデータセキュリティスタンダード(PCI DSS)」準拠のサービスと、KVHのプライベートクラウドを組み合わせて今年1月からスタート。PCI DSSはクレジットカードの情報を扱う高度な情報基盤を規定しており、KVHはこの要求に応える堅牢なDC設備を保有していることから、両社の協業に至った。妻鹿本部長は、「ほかにも医療機関で扱うようなセンシティブな個人情報などがKVHの高規格なDCと親和性が高い」と、強みとするミッションクリティカルなシステムを支える領域で協業の可能性が広がるとみている。

 東京に本社を置くKVHの主要株主は大手投資会社の米フィデリティグループで、首都圏4か所、関西圏2か所、韓国と香港、シンガポールに合計9か所のDCを展開するアジア主要市場をカバーするDCネットワーク網を展開。英国のDCサービス会社のコルトとは、共通の株主をもつ兄弟会社で、コルトが展開する欧米市場におけるDCサービスとの相互接続性も高い。このため、アジア市場をはじめとする海外へ進出するユーザー企業をITの側面でサポートするSIerやISVにとって、KVHやコルトがもつDC網は活用価値がある。

 それぞれのDCを複数の通信事業者の通信回線で相互に結んでおり、「ユーザーやビジネスパートナーは、アジア市場でのビジネスに最適なDCの立地や、複数の通信キャリアから最も適した通信回線を選べる」(妻鹿本部長)と胸を張る。すでに国内外でDCを展開している大手SIerにとっても、こうしたKVHのマルチキャリア対応の通信ネットワーク網はメリットがあり、中小SIerにとっては信頼性の高いDC設備が必要な業種・業態向けのビジネスでKVHと組みやすい。KVHは、「パートナーと組んで展開するビジネス規模を年率10%超の水準で伸ばしていきたい」と、パートナービジネスの拡大に意欲を示している。(安藤章司)