飲食店や理髪店など店舗の売上管理システムをSaaS型で提供する札幌市のソフトウェア会社、イー・カムトゥルー(上田正巳社長)は、マルチPOS対応を売りにして販売を伸ばしている。2013年には、同社のサービスを使う外食チェーンがシンガポールに進出したのを機に、同国に現地法人を設立。国内では、北海道に本社を置く「ラーメン山岡家」や「回転寿しトリトン」など、全国展開する飲食店の企業に導入が進んでいる。国内と海外市場を開拓し、2016年度12月期には昨年度の2倍以上になる5億円強の売上高を狙う。

上田正巳
社長
 イー・カムトゥルーは、地元経済誌記者を務めていた上田社長が2000年に独立して設立。店舗型のサービス業向け管理システム「Win-Board.biz」をSaaS型で提供を始め、現在、国内外で1600店舗超が導入している。

 同社は、今年4月に東京証券取引所のプロ投資家向け市場「TOKYO PRO Market」に、北海道に本社を置く企業としては初の上場を申請中だ。このため、道内IT業界では注目を集めている。

 主力サービスのWin-Board.bizは、市場にあるほぼすべてのPOS端末に対応した「マルチPOS対応」で、POSに入力されたデータで売上管理(会計や分析帳票、小口現金管理などが搭載)ができるほか、同社が提供する受発注システムや勤怠管理、グループウェアと連携が可能。店舗で働く人員の人件費を含め、「日次決算が可能になる」(上田社長)のが特徴だ。

 利用料金は、1店舗あたり5000~1万円と安価。競合他社のジャストプランニングやユニバーサルソリューションシステムズなどの大手が、従来型の自社仕様POSレジ端末を前提としているのに対して、Win-Board.bizは仮に一店舗で複数メーカーの異なるPOSがあっても、データの抽出や連携をすることができる。

 導入企業の80%が外食店舗。これ以外にも、英会話学校や調剤薬局、エステ店、フィットネスクラブ、パチンコ店など多岐にわたる。昨年、シンガポールに進出し、現地POSベンダーと連携して現地店舗にPOSレジ端末を設置。売上データを海外版のSaaSポータルで吸い上げて、日本本部のシステムに統合できるようにした。さらに、POSレジ端末の内部ソフトを開発する豪ベンダーと連携し、メルボルンと札幌をつなぐクロスボーダーの共同開発を行った。

 上田社長は「サービス業のIT投資額は売上額の1.5%程度。国内の外食産業だけで当社のマーケットは3600億円ある。小規模店舗でのIT投資は未着手のところが多く、これらの潜在顧客に対して簡便で安価なシステムを提供する」としており、16年12月期に売上高5億2700万円、経常利益1億5900万円を目指している。(谷畑良胤)