成功の方程式は「プロ意識×柔軟な発想」

 ASEANで最も人口が多く、成長の見込みが高いインドネシアの市場開拓をもくろむ日本のITベンダーが増えている。これは、現場でビジネスを仕切る担当者にとって、首都ジャカルタへの出張が多くなることを意味する。出張をどう実のあるものにすることができるのか――。

 ジャカルタ都市圏の居住人口はおよそ2700万人。日本の首都圏にも匹敵する規模だが、実は、ジャカルタには地下鉄が走っていない。バスはあるが、「路線がわかりにくい」ことから利用を避ける日本のビジネスパーソンが多く、主な交通手段になるのはタクシーだ。「1日につき最大で2件の面会予約を入れることが鉄則」。TISの内藤稔・IT基盤サービス本部IT基盤サービス企画室主査は助言する。時間帯を問わず、タクシーが渋滞に巻き込まれる可能性が大きいので、十分に時間の余裕をもたなければ、約束の時刻に間に合わないことになる。

 インドネシアは親日の国として知られ、ビジネスの世界では、日本人は「訓練されているのでプロ意識が高く、一緒に仕事をしやすい」(内藤主査)というふうに評価されているという。パートナー提携などに関して、商談を成功させるための基本的な条件が満たされるので、共同ビジネスの展開によるお互いの利点を明確に打ち出すことができれば、合意に至る確率が高いといえそうだ。

 「ジャカルタ市内はぴかぴかのショッピングモールがひしめき、アジアっぽくない」と内藤主査。インドネシアはどこまで発展するのか。今後の成長は、この10月、インドネシアの大統領に就任したジョコ・ウィドド氏の腕にかかる。ウィドド氏は、貧困な家庭に生まれながらも政治畑を歩み、ジャカルタ特別州の知事を務めた経験をもつ。その経歴から米国のバラク・オバマ大統領と比較されることが多く、渋滞問題を解決するとともに、経済に刺激を与えることが期待されている。

 日本のITベンダーは現時点で、クラウドなどのインフラをインドネシア向けの主な商材としているが、今後は「活用」の部分にも注力する必要がある。発想を柔軟にして、交通管理ツールやタクシーの呼び出しサービスなどを提案してみてはどうか。インドネシアのITビジネスは始まったばかりだ。(ゼンフ ミシャ)