ITホールディングスグループのTIS(桑野徹会長兼社長)が、マルチプラットフォームサービスの拡充を進めている。TIS自身が運営するデータセンター(DC)やクラウドサービスに加え、「Amazon Web Services(AWS)」や「IBM SoftLayer」「VMware vCloud」など主要なパブリッククラウドサービスと相互連携させ、TISがユーザーに代わって管理するサービスである。このサービスでは、システム管理や監視、ネットワークの構築を代行したり、ユーザーへの課金レポートや一括請求を請け負ったりする。

市田真也
エキスパート
 TISは、従来はオンプレミスとクラウドとのハイブリッドといった運用代行を手がけていたが、「これからは複数サービスを統合的に管理するマルチプラットフォームサービスが主流になる」(市田真也・IT基盤サービス本部IT基盤サービス企画室エキスパート)とみている。TISは業界に先駆けて独自のクラウドサービス「T.E.O.S.」を立ち上げるとともに、AWSとのハイブリッド方式による運用に取り組んできた。こうした実績が高く評価され、SoftLayerやvCloudなどの取り扱いも相次いでスタート。本格的なマルチプラットフォームサービス領域へ進出している。

 ユーザー企業の状況に目を向けると、パブリッククラウドの使い勝手がいいために、社内の事業部門がそれぞれ好みのサービスを使い始めてしまい、ITガバナンスがききにくくなっているケースが散見されるようになった。「AWSだけで五つも六つもアカウントがあるユーザー企業も珍しくない状況」(同)という。TISのマルチプラットフォームサービスを活用することで運用コストの削減やサービスメニューの最適化、ITガバナンス、情報セキュリティの強化に役立つ。

 同じクラウドサービスでも、仔細にみるとそれぞれの違いや特徴がある。まずT.E.O.S.は独自に構築してきたこともあって、パブリック方式からプライベートクラウド方式まで幅広く対応でき、自由度も高いのが特徴だ。だが、「ほんとうに小規模なシステムから使い始める場合は、AWSのほうが割安」(同)であることもわかってきた。SoftLayerは他のパブリッククラウドにはない物理(ベアメタル)サーバーの直接利用や、国内外のSoftLayer間のネットワークは固定料金で自由に使えるなどの特徴をもつ。vCloudは当然ながらVMwareユーザーとの相性がいい。

 TISでは、こうしたクラウドサービスの特性や運用ノウハウを他社に先駆けて習得していくことで、競争力を高める。(安藤章司)