【上海発】中国ローカルIT企業の上海林唯信息系統(上海リンクウェー情報システム、林堅董事長兼総経理)は、今年度(2015年12月期)、中国国内向けの新事業を開始した。ゴルフ、農業、教育、飲食、ペット、衣料などの産業に対して、日系企業の製品に上海リンクウェー情報システム独自のIT技術を組み合わせたソリューションを提供していく。

林堅董事長兼総経理

 2008年設立の上海リンクウェー情報システムは、これまで対日オフショア開発や、中国に進出した日系企業向けのITサポート事業を手がけてきた。しかし、円安や人件費の高騰で対日オフショア開発のビジネス環境は厳しくなっており、中国の日系企業向けビジネスも競合状況が激化している。そこで同社では、2014年度から中国国内向けビジネスを模索していた。

 新事業を開始するゴルフ、農業、教育、飲食、ペット、衣料などの産業は、「どれも政府が産業発展を奨励している分野で、補助金が出るものもある」(林董事長兼総経理)という。事業開始に先立って、2014年に製品開発を行う子会社を上海に設立し、従業員数を従来の約60人から100人弱に増強。今春には、日系パートナー企業の製品を、中国国内に展開するための貿易会社を上海自由貿易試験区に設立する予定だ。

 例えば、ゴルフ産業では、ラウンド中にグリーンまでの飛距離を計測したりできるGPSを活用したゴルフナビシステムを自社開発したほか、日系パートナー企業のゴルフ場管理システムをカスタマイズして、中国にある約600のゴルフ場に売り込む。また、ゴルフ場の予約システムやゴルフクラブの配達サービスなどの周辺サービスも、日系パートナー企業のノウハウを活用しながら提供していく。

 農業では、農園の管理システムや、農作物を運搬するためのモノラックを中国の山間部にある農園などに提供。教育では、ユーザーが自宅のPCやタブレット端末などを通して教育が受けられるオンラインプラットフォームを構築し、月額課金のサービスとして提供する。第一弾として、幼稚園児向けの日本語・韓国語の教育サービスを開始。コンテンツは、日系企業の教材を中国語にローカライズして提供する。

 とくに林董事長兼総経理が期待しているのが、衣料分野だ。RFIDを埋め込んだ衣料品の商品タグ・表示ラベルと、その読み取りシステムを中国の衣料品メーカーに提供する。林董事長兼総経理は、「ある衣料品メーカーの工場では、300人体制でRFIDをタグに張り付ける作業を行っている。RFID埋め込み型の商品タグ・表示ラベルであれば、その作業が不要となりコストを削減できる」という。

 営業面では、北京の政府機関で9年間従事した林董事長兼総経理のコネクションをフルに活用。「政府からの紹介や、中国の各地域・分野にもっているおよそ200社の人脈を中心に顧客案件を獲得する」という。

 2014年度の上海リンクウェー情報システムの売上高は約1200万元。林董事長兼総経理は、「今年度は、前年度比で3倍の売上高を目指す。衣料向けのRFIDビジネスだけで1000万元程度が期待できる」と自信を見せている。(上海支局 真鍋武)