中国のインターネット企業大手百度(バイドゥ)は5月16日、中国安徽省蕪湖市政府と「全無人駕駛汽車運営区域(完全自動運転自動車運営区域)」の建設に向けた戦略協議を北京で交わした。蕪湖市政府は、自動運転技術開発や実験運転に必要なインフラ環境や関連条件をバイドゥに提供し、自動運転の試験運営先行都市の建設を目指す。

バイドゥと長安汽車共同研究の自動運転車

 ボストンコンサルティンググループ(BCG)によると、2017年から自動運転自動車の商用化が本格化し、25年の市場規模は420億ドルに達する見込みだ。35年には世界市場の1800万台の自動車にスマート・ドライビング機能が搭載され、完全自動運転自動車は1200万台になると予想。中国が最も大きな市場になると予測した。

 メルセデス・ベンツやアウディ、トヨタ自動車、グーグル、アップルといった、ドイツや米国、日本の大手企業は、乗用車向けコネクテッドカーの技術開発・公道実験を先行して行っている。これに比べ、中国企業は出遅れていたが、「中国製造2025」の戦略実施元年の16年になって、自動車産業とITの融合が本格的に進み始めた。

 バイドゥは、中国の地図情報のデータベースを強みに、北京汽車や広州汽車、上海汽車、重慶長安汽車など、大手自動車メーカーと、コネクテッドカーおよび自動運転技術の共同研究開発契約を締結。15年12月、北京公道走行実験に成功し、今後、米国での走行実験も予定している。世界に先駆けて、自動運転車の公道実験を認可した米国政府やカルフォニア州との関係を強化し、自動運転車の商用化の実現を加速していく。

 自動運転を巡る中国市場には、中国のインターネット・IT企業が次々と参入し、競争が激化している。アリババグループは、上海汽車と連携しテレマティクスサービス市場に進出。また、テンセントとフォックスコンは、10億元を投じてスマートカー事業の合弁会社を設立。両社の技術優位性を生かし、スマートカー市場での遅れをとり戻そうと必死だ。そのほか、動画配信サービス大手の楽視網は、国内外の電気自動車メーカーとの連携で、自動運転電気自動車の研究開発に注力し、商用化を目指している。

 しかし、中国自動運転市場で、バイドゥが前述のインターネット・IT企業を一歩リード。4月12日には、中国長安汽車や清華大学、ボッシュ、バイドゥ共同プロジェクトによる、中国市場初の長距離公道実験に成功した。今後、バイドゥは400のスマートカー関連事業部門の立ち上げや1000人以上の開発人員を募集するなど、50億元を当該事業に投資する計画だ。中国10都市の試験区で自動運転車の商用化を進め、量産化を計画している。蕪湖市政府との戦略提携は、このプロジェクト推進の第一歩となる。