日本IBM(エリー・キーナン社長)は4月12日、2017年のセキュリティ戦略を発表した。爆発的に増える脅威に、Watsonを使った「免疫系システム」で対抗する。

 IBMが世界100か国、8000社以上を対象に実施した調査では、16年に情報漏えいしたレコードの件数は40億件となり、増加率は前年比566%と歴史的な数字になった。
 
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「免疫系システム」の概要

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志済聡子
執行役員
セキュリティー事業本部長

 志済聡子・執行役員セキュリティー事業本部長は、「これまでは、クレジットカードやパスワードなどの情報が標的となっていたが、最近は知的財産などの非構造化データを狙う動き目立つ」と分析し、「セキュリティは、引き続き経営の課題になっている」と指摘した。

 セキュリティを取り巻く環境が厳しくなるなか、IBMは、病原菌を防いだり、感染後に治癒したりする人間の免疫力に着目。QRadarやMaaS360などの各製品を連動させ、セキュリティでも同様の働きを実現する免疫系システムを打ち出した。

 志済執行役員セキュリティー事業本部長は、「防御だけではなく、侵入から最後の対処まで一連の対応を支援する。Watsonを使うことで、感染がわかってから対処するまでの時間の短縮効果も期待できる」と説明した。最終的に、システム全体をクラウドを通じて提供することを目指すという。

 Watsonは、1日に1万5000件の文書情報を追加するなど、世界中のセキュリティに関する膨大なデータを毎日休まず蓄積し続け、セキュリティを常に万全の状態に保つ役割を担う。

 IBMはセキュリティの領域で、Watsonの活用を加速化させている。17年2月には、セキュリティアナリストの迅速な情報収集や正確な判断にWatsonを役立てる「Cognitive SOC」のコンセプトを発表した。

 志済執行役員セキュリティー事業本部長によると、ほかには、セキュリティアナリスト向けのWatsonベースの音声アシスタントツール「Havyn」(ヘイヴン)のプロジェクトを進めている。

 Havynは、「安全な避難場所」という意味の「safe haven」が由来。IBMのサイバーセキュリティインフラと対話し、Watsonの知性が利用できる。

 現在は、IBM社内の「IBM X-Forceコマンド・センター」で、数十人のアナリストが使用している。製品としては、17年後半以降のできるだけ早い時期に提供できるように準備している。(廣瀬秀平)