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最新テクノロジーが分かる、「BCN Conference 2017 冬」で各社が2018年を占う

2017/12/14 12:04

 週刊BCNが12月13日に開催したITメーカーとIT販社をつなぐイベント「BCN Conference 2017 冬」の聴講者は延べ250人を超えた。東京の気温が10度を下回るほど寒かったものの、会場は熱気に包まれていた。


「BCN Conference 2017 冬」の協賛ベンダー

 午前は、「テレワーク月間」で実行副委員長を務める日本マイクロソフトの小柳津篤・マイクロソフトテクノロジーセンター エグゼクティブアドバイザーが基調講演、日本マイクロソフトの福地紀雄・パートナー事業本部パートナーマーケティング統括本部新規ビジネス開発チーム本部長が特別講演をそれぞれ行った(既報)。午後は、AとBの二つのトラックに分かれて有識者や業界を代表するITベンダーが、それぞれの立場やテーマでIT業界の現状と未来、製品やソリューションについて講演。各社が自社の強みや市場動向などを説明しながら2018年を占った。

 Aトラック最初の講演は、SBクラウド。奥山朋・プロダクト技術部ソリューションアーキテクトが「Alibaba Cloudが支えるクラウドプラットフォームの仕組みとIT大国中国のテクノロジー事例紹介」と題して、アリババのクラウドテクノロジーが実際にどう活用され、今後どのように進化していくかを、事例を交えて説明した。

 アリババは、テクノロジーと経験を生かしてパブリッククラウド事業を展開しており、いまでは世界第3位のクラウド事業者として君臨している。奥山ソリューションアーキテクトは、「アリババグループは、EC、金融サービスをはじめ、社会生活にかかわる非常に幅広い分野でサービスを提供しており、Alibaba Cloudはそうした広範な事業を支えてきた実績がある」とアピールしたうえで、「例えば、今年、中国の“独身の日”である11月11日のセールでは、1日だけで2.9兆円の取引額を記録した。これを問題なく処理したことからも、Alibaba Cloudの性能、セキュリティ、スケーラビリティを理解してもらえるだろう」と述べた。
 

SBクラウドの奥山朋・プロダクト技術部ソリューションアーキテクト

 次に、日立ソリューションズの高橋明男・Lumada企画推進室CLO(Chief Lumada Officer)が登壇して、「2017年システム開発顧客満足度NO1.ベンダーが考える、デジタルビジネスIoT戦略!」をテーマに解説。「脱常識」をキーワードに掲げる日立ソリューションズが、Lumadaを最大限活用した顧客とのイノベーション創出の活動をさまざまな領域で進めるために、どのような施策を推進しているかを語った。

 高橋CLOは、Lumadaや独自のAI、ロボットを活用した業務自動化の事例を紹介しながら、デジタルビジネスの台頭による事業環境の変化を受け入れて「変化をテコに成長につなげていく」姿勢を明確にした。
 

日立ソリューションズの高橋明男・Lumada企画推進室CLO

 Sprinklr Japanは、八木健太代表取締役社長が「デジタルトランスフォーメーションがカスタマーエクスペリエンスに与える影響~フロントオフィス部門へのIT投資で、サイロ化をどう乗り越えるか~」と題して、デジタルトランスフォーメーションに対応していくための新たなアプローチを説明した。

 八木社長は、「ソーシャルメディアが登場し、生活者は力や知識、拡声器を持つようになった。顧客体験がリアルタイムでシェアされる怖い世の中だ。デジタルトランスフォーメーションと顧客体験は、非常に密接な関係がある。企業は、ソーシャルメディアをマネジメントするために変わらないといけない」と訴えた。
 

Sprinklr Japanの八木健太代表取締役社長

 次いで、アマゾンウェブサービス(AWS)ジャパンの今野芳弘・パートナーアライアンス本部本部長が「“移行・IoT・AI” AWS最新動向と2018年 SIのビジネスチャンスとは?」をテーマに、クラウド利用の最新動向とAWSのアップデートを、事例を交えて紹介した。

 今野本部長は、「クラウドのSIビジネスは加速しており、18年は大きな飛躍の年になる。クラウドはビジネスプラットフォームで、パートナービジネスもたくさんある。ユーザーのトランスフォーメーションを、いかにビジネスにしていけるかが重要だ」とアピールした。
 

アマゾンウェブサービスジャパンの今野芳弘・パートナーアライアンス本部本部長

 Aトラック最後のセッションは、総務省の渋谷闘志彦・情報流通行政局情報流通高度化推進室室長が、「テレワークの最新動向と今後の政策展開~第1回『テレワーク・デイ』から見えた成果と課題~」を説明した。

 渋谷室長は、テレワーク推進の背景や現在の導入状況などについて、「最近は、生産性の向上を目的に導入する企業が増加している」とする一方、導入していない企業の間では、認知不足や意識改革などが課題になっていると解説した。その後、渋谷室長はテレワーク普及促進に向けた政府の取り組みを紹介。とくに、今年初めて実施した「テレワーク・デイ」は約950団体、6万3000人が参加し、実際に交通混雑の緩和や消費電力の削減といった効果があったとした。今後も「テレワークの効果を分析し、経営層の意識改革を促進していく」と話した。
 

総務省の渋谷闘志彦・情報流通行政局情報流通高度化推進室室長

 一方、Bトラックでは、まずアーク・システムマネジメントの寺本佳弘・営業本部営業技術部長が「NAS型データ共有とデータ保全アプラアンス、HCI統合ソリューションのご紹介」と題して、データ共有とデータバックアップ・アプライアンス「STOREND-Ⅱ,V」とHCI「ASM-HCI」を紹介した。

 「STOREND」は自社開発のNASヘッドを使ったデータ共有とデータバックアップ・アプライアンスで、小・中規模環境の社内情報システムのファイル格納と共有・データのバックアップ・リストアを直感的に構成・操作できる。今回、紹介したSTOREND-Ⅱはエンタープライズレベルの大量データ格納とテープ・アーカイブ機能、STOREND-Vは仮想環境への導入を可能とし、HA(高可用)、拠点間レプリケーション機能を強化している。「ASM-HCIと組み合わせたソリューションを、18年第2四半期をめどに提供する」(寺本部長)。これによって、仮想サーバーやVDI環境を含めて導入構築期間の短縮と運用コストの低減を図ることができると説明した。
 

アーク・システムマネジメントの寺本佳弘・営業本部営業技術部長

 Dell EMCは、森山輝彦・プライマリーストレージ事業本部製品SE部シニアマネージャーが「Dell EMC最新フラッシュストレージ戦略-事例~最新技術情報をご紹介」として、フラッシュストレージポートフォリオ、戦略/ポジショニングを、ユーザー事例とともに紹介した。

 森山シニアマネージャーは、18年のキーワードとして「オールフラッシュ」を挙げて、メモリをストレージのように使うことができる「NVM」「SCM」などがポイントになるとした。また、「AI」「ML」「オートノミクス」「オプトマイズ」などをキーワードとして掲げた。そのなかで、とくにミッドレンジのストレージに力を入れるほか、「今後は、『フラッシュネクスト(次世代のフラッシュ)』を目指す」と述べた。
 

Dell EMCの森山輝彦・プライマリーストレージ事業本部製品SE部シニアマネージャー

 次に、飛天ジャパンの浜崎和彦・マーケティング部マーケティング戦略室室長が「管理することが働き方改革でしたか? 利便性に富んだ安全なPC環境を提供するためのセキュリティ」と題して、セキュリティと利便性が相反するものではないことをアピールした。

 飛天ジャパンは、国内の金融機関を中心に「多くのお客様が安全に利用できるIT環境」を提供し、セキュリティ視点で働き方改革を支援。来場者に対して、複数の製品を紹介して業務に合ったものを選択するよう訴えた。浜崎室長は、コンサルティング会社の働き方改革に関する調査結果を引き合いに、働き方改革に対する従業員の満足度の低さを指摘。企業が実施する働き方改革には、「働く人の視点が見落とされている」といい、多くの企業が力を入れる長時間労働の削減についても、「従業員が時間を減らせる環境を用意することが重要だ」と強調した。
 

飛天ジャパンの浜崎和彦・マーケティング部マーケティング戦略室室長

 また、イベントでは展示ブースも設置し、多くの聴講者がセッションの合間にブースを訪れて熱心に説明を受けていた。
 

展示ブースも活況を呈していた
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