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ZTE、米制裁で上半期は1270億円の赤字

2018/09/10 18:00

 中国の中興通訊(ZTE)が8月30日に発表した2018年上半期(1~6月)の業績は、米国の経済制裁が大きく影響し、最終損益が78億2400万元(約1270億円)の赤字となった。下半期は第5世代移動通信システム(5G)関係に注力する方針だが、世界では中国企業を市場から締め出す動きがあり、先行きは不透明だ。

 米政府は4月、ZTEがイランや北朝鮮に通信機器を違法輸出したとして、米国企業からZTEへの電子部品の輸出を7年間禁止。制裁はすでに解除されたが、主力事業が一時停止に追い込まれたことで、「前例のないピンチ」(中国メディア)に。前年の同じ時期に22億9000万元の黒字だった業績は、大幅な赤字に転落した。

 ZTEは、5Gの商業化に向けた動きが加速すると見込み、下半期は5G関連への投資を加速させる方針。中国メディアによると、ZTEの事業は現在、正常状態に回復し、研究開発も順調に進んでいるという。

 ただ、5Gの市場では、中国企業にとっては逆風ともいえる事態が生じている。オーストラリア政府は8月23日、「自国の法律と矛盾する外国政府からの指示の対象となる可能性が高いベンダー」として、ZTEと華為技術(ファーウェイ)を同国の5G市場から排除する決定を発表した。

 5Gの世界市場でシェア拡大を狙うZTEにとっては、オーストラリア政府の排除決定は大きな痛手。同国以外で同じような状況が起これば、5Gを軸とした業績回復は難しくなるとみられている。
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