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変革を続けるCEATEC JAPAN 2018の見どころ 発信、共創の場を目指して――CEATEC JAPAN 実施協議会

2018/10/04 10:00

週刊BCN 2018年10月01日vol.1745掲載

 2016年に、最先端のIT・エレクトロニクス総合展からCPS/IoTの総合展示会に大きく舵を切ったCEATEC JAPAN。方向転換から3年目となるCEATEC JAPAN 2018が10月16日に開幕する。方向転換の理由、目指す方向性、そして今後のあるべき姿とは。CEATEC JAPAN実施協議会の鹿野清・エグゼクティブプロデューサーに話を聞く。(取材・文/山下彰子)

目指すものは一貫して先端技術展

──2000年から最先端のIT・エレクトロニクス総合展として続けてきましたが、16年にCPS(Cyber-Physical System)/IoTの展示会に舵を切りました。この方向転換の理由を教えてください。

 
鹿野清
エグゼクティブ
プロデューサー
 そもそも、CEATEC JAPANは「エレクトロニクスショー」と「COM JAPAN」の二つを統合し、電子部品から完成品、ネットワークサービスまで包含する展示会としてスタートしました。09年以降、IT・エレクトロニクスを取り巻く世界情勢や業界の動向が変化し、出展を取りやめる企業が相次ぎました。それと同じくして、展示そのものの方向性が見えにくくなってきました。新しい方向性に切り替える必要があったわけです。

 CEATECの「CE」はコンシューマーエレクトロニクスだと思われている方が多いようですが、CEATECとは「Combined Exhibition of Advanced Technologies」の略、つまり先端技術の複合展示会を意味しています。時代の最先端技術によって人々の暮らしがいかに豊かになるか、それを提示する展示会です。まず、原点に立ち返りました。

 次にコアとなる最先端技術をCPS/IoTとしました。実世界からIoTを用いてデータを集め、クラウドでAIを使って分析・解析する。そして分析したものを実世界に反映させる。これがCPS/IoTです。

──「つながる社会、共創する未来」というサブテーマを16年から掲げていますが、意図するところは何でしょうか。

 これまでのCEATECは、出展社のメッセージを発信する場でしたが、16年以降はそれに加えて出展社同士、あるいは出展社と来場者が展示会を通じてつながりあえる場にしたいと考えています。

 もう一つテーマとして、17年には「Society 5.0」も加えました。20年以降の超スマート社会の姿を展示会を通して見据えたい、Society 5.0の世界を手に取ってみることができる場として、CEATECを活用してもらえたらと考えています。

異業種企業も多く出展する

──今年の見どころを教えてください。

 展示では「IoT TOWN」、コンファレンスでは初日のキーノートが見どころです。展示フロアのほぼ中央に、主催者企画コーナーを設けています。その中に異業種企業との共創を発信する特別企画展としてIoT TOWNがあり、今年で3回目を迎えます。20社/団体が参画し、そのうち8社が初出展です。スペースは前年のほぼ倍になりました。顔ぶれを見るとIT企業だけではなく、ローソンやライオンなどIT以外の企業が並びます。今やIoTは日本のどんな業種にも採用されています。日本のあらゆる産業の方に出展、来場していただくことが最終目標です。

 展示ブースでは説明しきれなかった内容を発信する場としてコンファレンスを重視しています。でも、特に注目していただきたいのが初日のキーノートスピーチです。例年は、業界団体者にスピーチをお願いしていますが、今年は展示会テーマの変更、展示内容の変更に合わせて大幅に変えました。コマツやローソンなど、異業種企業の方にも登壇していただきます。これまでとは違った話が聞けると思いますし、聴講の申し込みも順調に増えています。展示をより深く理解するため、コンファレンスに立ち寄っていただきたいです。

海外企業との共創を強化

──CPS/IoTの展示会として3回目の開催となりますが、方向性の変更に対する手応えはいかがでしょうか。

 基本的な方向性は間違っていないと思っています。ただ、満足しているわけではありません。今後は海外への情報発信を強化したいと考えています。17年の来場者15万人のうち、海外からは2000人を切っています。家電見本市のテーマを掲げていた頃は、最高で3000人でした。しかし、日本のエレクトロニクス業界が停滞し、それを受けて年々来場客数が減少しました。方向転換をしましたが、海外からの来場者数に関してはいまだその延長線上にある。変わったことが海外まで届いていないのです。
 
CEATEC JAPAN 2018見取り図

 今年は欧州の企業に声を掛けました。「Society 5.0」の分野で最先端を走っているのは米国と欧州です。14年から米国のパビリオンを、17年からインドのパビリオンを設けました。今年はフランス、英国の企業が出展します。海外に対してメッセージを発信し、海外の企業に日本の技術、ソリューションを見直してもらうだけではなく、日本企業が海外のベンチャー企業と連携していただきたいと考えています。

 こうした海外企業を集めたブースが「Co Creation Park」です。ともに創っていこう、という共創の思いを込めました。急激に海外からの来場者が増えることはないと思いますが、強化を続け、日本の経営者に海外のことを理解していただきたいと思います。そのために前日に経営者が集まる、海外経済に関するシンポジウムを開催します。

 出展社数、来場数は徐々に増えています。それ以上に展示やコンファレンスなどの内容が大きく変わっています。ぜひ会場で確かめてください。

開催概要
イベント名:CEATEC JAPAN 2018
日時:2018年10月16日(火)~ 19日(金)
   午前10時~午後5時
場所:幕張メッセ
   千葉市美浜区中瀬2-1
主催:CEATEC JAPAN 実施協議会
 
CEATEC JAPAN 2017の会場内
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外部リンク

CEATEC JAPAN 2018=https://www.ceatec.com/ja/