週刊BCNは8月2日、札幌市で「SIer・リセラー必見!有力商材で広がるITビジネスセミナー」を開催した。地域のSIer・リセラーと、パートナーを募集するソリューションベンダーとのマッチングの場を全国で提供する週刊BCNの全国キャラバン企画の一環。法人向けIT市場の注目ベンダーが、SIer・リセラー向けに自社の最新技術・商材やパートナープログラムを紹介した。昨年9月に経済産業省が発表したレポートや、そこで指摘された「2025年の崖」問題が広く認識され始めたことなどにより、多くのITベンダーが顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)にいかに貢献するかを大きな課題として捉えるようになっている。各プレゼンでは、DXのニーズをいかにSIer、IT販社のビジネスの成長につなげていくかが有識者、ソリューションベンダーそれぞれの視点で示され、参加者は熱心に耳を傾けた。

 基調講演は、福岡情報ビジネスセンター代表取締役の武藤元美氏が務めた。「絶滅危惧種“SIer”の反撃~もう業者扱いはさせない!!DXを好機と捉え、不本意な現実をエコシステムで好転させる~」と題して、DX時代の持続的成長が可能なSIビジネスのあり方を提言した。自社が手掛けた案件を通して得た教訓として「お客さんが思っていることをコーチングで引き出して、そこにテクノロジーをぶつけて実現するのがSIerの役割。しかし、発注側を含めプロジェクトの関係者の気持ちを一致させて成功に導くのはなかなか難しい」と指摘。その上で、「経済産業省のDXレポートでは、あらゆるユーザー企業がデジタル企業になるべきとしている。ユーザーにプロダクトオーナー意識を戻して、アジャイル開発やDevOpsなどを駆使してお客さんと一緒にシステムをつくっていくことが重要。今こそDXをテコにSIerもユーザーも文化や振る舞いを変えるチャンスだ」と強調した。
福岡情報ビジネスセンター代表取締役の武藤元美氏

 ソリューションベンダーセッションのセッション1では「市場が求むIT運用・セキュリティの基本ソリューション “ManageEngine”」をテーマに、ゾーホージャパン ManageEngine事業部ソリューションエバンジェリストの曽根禎行氏がプレゼン。同社のIT運用管理製品である「ManageEngine」の概要と販売戦略・パートナー戦略などを事前撮影済みの動画で解説した。ManageEngineはサーバー・ネットワークなどITインフラの管理やID・ログ・セキュリティ管理、ヘルプデスクソリューションまで幅広い製品をラインアップする。「ITの運用管理とセキュリティ対策をシンブルにし、コストと運用工数の削減を実現する」という。曽根氏はManageEngineがSIerのビジネス拡大にも大きく貢献できると強調。「顧客満足度が高く、パートナー向けのセールスツールやセールスサポートも充実しており、手離れもいい」と説明した。

 セッション2ではウェブルート エンタープライズ営業本部ディレクターの渋井政則氏が「特許取得済みのAIを用いたサイバーセキュリティソリューションを提供するウェブルートと共に安全を守りましょう!」をテーマに講演した。同社はクラウド上に巨大な脅威インテリジェンプラットフォームを構築している。パートナーベンダーを含む広範なデータソースから脅威情報を収集してAIを活用して自動的に分析し、エンドポイントセキュリティにリアルタイムかつ継続的に生かす仕組みだという。エンドポイントセキュリティ製品の「SecureAnywhere」でもこれらのデータを参照し、「単一ソリューションで多層防御が実現できる」という。さらに、「端末型のエージェントが非常に軽量でパフォーマンスが競合製品と比べ優れているほか、独自のロールバック機能で仮に感染しても自動修復し、複数経路からの脅威も遮断する」と機能面のメリットを強調した。
 
ウェブルート エンタープライズ営業本部ディレクターの渋井政則氏

 セッション3では、ビーブレイクシステムズ営業部の堀井勇也氏が「お客様の業務効率の向上を図るソリューション群『コネクテッド・クラウド』」をテーマにプレゼンした。同社はプロジェクト型の原価管理に特化したERPパッケージソフト「MA-EYES」を主力商材として成長してきた。近年はMA-EYESと連携する周辺業務ソリューション群(サードパーティー製を含む)を「コネクテッド・クラウド」というブランド名でラインアップ。中核となるのはあくまでもMA-EYESだが、単品ではカバーできないニーズが増えているという。例えば、RPAツール「WinActor」との連携は代表的な事例だ。MA-EYESのオペレーションをWinActorに任せることでカスタマイズを最小限に抑えることができ、導入費用の削減にもつながる」とした。同社はコネクテッド・クラウドについて、リファーラルパートナーを募集しているほか、自社商材を持っているSIerについてはコネクテッド・クラウドのエコシステムにソリューションベンダーとして参画してほしいと呼びかけた。
ビーブレイクシステムズ営業部の堀井勇也氏

 セッション4では、「その働き方改革、隠れ残業対策できていますか? CLOMO MDM で始める働き方改革とは」と題し、アイキューブドシステムズ CLOMOマーケティングスペシャリストの中光章氏が登壇した。クラウドやモバイルの普及により、いつでも・どこでも仕事ができる環境が整ったことで多様な働き方ができるようになってきている一方で、会社側が把握できない時間外労働として「隠れ残業」も増えているという。中光氏は、「働き方改革関連法などにより、継続的な長時間労働は徹底的に許さない社会にしようという流れになっている。社員が意図せず働きすぎてしまって、それを企業側が把握できないという課題を解消し、働き方を整える必要がある」と指摘。同社のMDM製品「CLOMO MDM」がその解決策になると強調した。CLOMO MDMはスマートデバイスだけでなくWindows PCにも対応し、業務用デバイスの利用時間の制限や時間外労働の可視化、働き方の振り返りなどを包括的に支援することを目指しており、「働き方改革や健康経営に役立つ戦略的なソリューションとして顧客に訴求できる」と説明した。
アイキューブドシステムズ CLOMOマーケティングスペシャリストの中光章氏

 主催者講演では、週刊BCN編集長の本多和幸が、法人向けITビジネスの技術トレンドやビジネストレンドなどについて取材情報を基に解説した。