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中国国際ソフトウェア博覧会 ソフトウェア業界も「一帯一路」で発展へ
2019/09/26 09:00
週刊BCN 2019年09月23日vol.1793 第2部掲載

ビッグデータやAIに焦点
博覧会は中国工業情報化部と北京市政府の共催。同部の苗圩部長は開幕式に寄せた祝辞で、「中国は、世界のソフトウェア産業の発展にとって重要な柱になっており、ソフトウェア産業は、常に国内経済のさまざまな産業の最前線にある」と強調。そのうえで「一帯一路を中心に、ソフトウェア分野の技術や規格、人材の国際交流、より高度なレベルでの革新的な協力を推進する」と呼びかけた。さらに、産業インターネットやビッグデータ、人工知能(AI)などの新興分野に焦点を当てるほか、産学官の連携や新しいエコシステムの育成なども進めるとした。
苗部長
また、ソフトウェア産業を取り巻く環境については「ソフトウェアの技術がクラウド化やプラットフォーム化、サービス化を加速させ、グローバルのソフトウェア産業はオープンイノベーションエコシステムを育成している」と指摘。その上で「世界の主要国は、新たな競争優位性を築くためにソフトウェア産業を発展させ、開発の主導的役割を掌握しようとしている」とし、各国の動向に警戒感を示した。

陳市長
一方、北京市政府の陳吉寧市長は「ソフトウェアは、インターネットやビッグデータ、クラウドコンピューティング、AIなどを派生させ、革新と開発を促進し、質の高い経済社会開発を促進するための重要な保証になる。われわれは、高品質の開発を加速するために、革新と開放、活力、応用に焦点を合わせ、高品質な発展を加速させる」と力を込めた。
今年のテーマは「インターネット世界の融合が、デジタルの未来を加速させる」。開幕式ではこのほか、日本のロボット工学者で、中国科学院外国人院士の福田敏男氏も講演した。中国メディアによると、博覧会は、中国のソフトウェアとITサービスの領域で最も歴史があるイベントという。
展示エリアでは、阿里巴巴集団(アリババグループ)や米マイクロソフトなどの大手企業をはじめ、国内外の約320社が出展。中国各地の省や市、香港などのブースもあり、地元企業が揃って製品やサービスをアピールした。
「世界との差は縮まっている」
同博覧会では、中国ソフトウェア産業協会のプロジェクト管理専門委員会が6月29日、「イノベーション駆動、高品質発展―ソフトウェアプロジェクト管理サミットフォーラム」を開催した。政府機関がソフトウェア業界の発展を後押しする方針を示したほか、専門家らが最新の動向やソフトウェアプロジェクト管理の効果などについて講演した。
冒頭のあいさつで、中国工業情報化部情報化ソフトウェアサービス業局の董大健副局長は、2018年の中国国内のソフトウェア業界の生産高が、前年比14.2%増の6兆3000億元(約99兆8000億円)に達したとし、「中国のソフトウェア産業は何年にもわたる開発の後、驚くべき結果を達成し、世界最先端のレベルとの差は徐々に狭まっている」と話した。
一方で「依然としてソフトウェア産業のエコシステムは弱く、投資と才能の不足も未解決になっている」と課題を指摘し、解決に向けて「国民の基礎教育強化のほか、産学連携や新しいITプロジェクトの構築、海外人材の招致強化に取り組む」と強調。参加者に対して「協力を深め、共同で中国のソフトウェア産業を新たなレベルに発展させることを願っている」と期待した。
中国のソフトウェア産業の生産高のうち、約6分の1に当たる1兆元の生産高を誇る北京市も、ソフトウェア産業の発展を重要視している。フォーラムに参加した北京市経済情報化局情報化ソフトウェアサービス業部の尤靖副部長は「ソフトウェアプロジェクト管理を通じて、計画から開発、納品までのプロセスを効果的に改善し、顧客満足度を高めることで、より多くの業界がサービスを提供する機会を獲得できる」と強調し、「北京市は、引き続きソフトウェアプロジェクト管理を支援していく」と呼びかけた。
フォーラムでは、企業のトップや研究者らが、ソフトウェアプロジェクト管理に関する国際的な動向や、適切なプロジェクト管理がソフトウェアエンジニアリングの発展を推進することなどを説明。日本からは、沖縄県商工労働部情報産業振興課の山里永悟副参事が参加し、リゾートとテクノロジーを組み合わせた「ResorTech」(リゾテック)の概念などについて説き、沖縄のIT産業が他地域と差異化を進めていることを披露した。
このほか、同専門委員会が認定するプロジェクト管理プラットフォーム「SEPMP」に関する紹介があったほか、同専門委員会と中国電信(チャイナテレコム)など中国ITベンダーによる提携に関して式典も行われた。



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