週刊BCNは11月8日、仙台市で「SIer・リセラー必見!有力商材で広がるITビジネスセミナー」を開催した。地域のSIerやリセラーを対象に、有力商材の地域展開を目指すITベンダーとのマッチングを目的として週刊BCNが全国各地で開催しているセミナーで、当日は2人の識者がIT市場のトレンドを解説するとともに、3社のITベンダーが参加者に対して、自社の商材やパートナー施策を紹介した。

 基調講演には、IT記者会代表理事の佃均氏が登壇。「時代はデータ駆動型サービス デジタル・チャレンジが未来を拓く」をテーマに講演した。
 
IT記者会の佃均・代表理事

 佃氏は、今後のシステムを考える上で「重要になるのはプログラムではなくデータ」だと強調。「自社内にもさまざまなデータがあるが、今までは個々のシステムで整理できていても、全体の整合性が取れていない。そうするとこれからビッグデータやIoTといったとき、例えば生産現場のデータがバックヤードの管理系のデータとして飛んできたとしても管理できなくなってしまう」と言う。「これからのシステムがデータドリブンである以上はそうしたことに取り組まないといけない」として、顧客のデータを体系化するためのビジネスを考える必要があると指摘した。

 セッション1では、ウェブルート エンタープライズ営業本部本部長の渋井政則氏が「Managed Security Service Providerビジネスへの近道~売上ポートフォリオ安定化に寄与するストックビジネス~」をテーマに登壇した。
 
ウェブルートの渋井政則・エンタープライズ営業本部本部長

 ウェブルートは、クラウド型エンドポイントセキュリティソリューションと脅威インテリジェンスの二つを事業の柱として展開。特に脅威インテリジェンスは世界100社以上のグローバルセキュリティベンダーが自社製品に採用しており、渋井氏は「ウェブルートという名前をご存知ない方もいるが、知らず知らずのうちにわれわれのデータを使って恩恵を受けていることは多々ある」と説明。

 また、法人向けエンドポイントプロテクション製品「SecureAnywhere Business」の優位性として、未知の脅威を判定するふるまい検知技術や、万が一、脅威に感染した場合でも感染前の状態に戻す「ジャーナリング&ロールバック」機能、追加コストなしで利用できるSaaS型の管理コンソールなどを挙げる。ウェブルートではSecureAnywhere Businessを使ったMSPパートナーを募集しており、渋井氏は「みなさまの取引先が必ず端末のセキュリティ製品を使っている。まずは自身の取引先への展開をご検討いただければ、ビジネスに着手するところのハードルを下げられるのではないか」と参加者に呼び掛けた。

 セッション2では、ゾーホージャパン ManageEngine事業部ソリューションエバンジェリストの曽根禎行氏が「市場が求むIT運用・セキュリティの基本ソリューション “ManageEngine”」と題して、同社のIT運用管理製品「ManageEngine」の特徴やパートナー戦略を事前に録画した動画から解説した。
 
事前に録画した動画で、ゾーホージャパンの曽根禎行・
ManageEngine事業部ソリューションエバンジェリストが講演

 ManageEngineは、サーバーやネットワーク、PC、ビジネスアプリケーションなどの運用管理とセキュリティ対策に必要な機能をパッケージ化したもの。「自社に必要なものだけを選択して導入することで、費用や工数を最小化できる」としており、現在までにグローバルで18万社が利用、日本では4000ライセンス超の販売実績があるという。

 また曽根氏は、SIerなどパートナー企業にとっては、ManageEngineが幅広いラインアップを持つことからビジネス範囲の拡大につながり、導入・利用・運用が簡単でサポートが充実していることから「手離れが良い」として、「ビジネスの拡大に貢献できる」とアピールした。

 セッション3では、アイキューブドシステムズ CLOMOマーケティングスペシャリストの中光章氏が「その働き方改革、隠れ残業対策できていますか? CLOMO MDMで始める働き方改革とは」と題して講演。同社のMDM製品「CLOMO MDM」を紹介した。
 
アイキューブドシステムズの中光 章・
CLOMOマーケティングスペシャリスト

 中光氏はまず、今年施行された働き方改革関連法について言及。残業時間の上限規制によって継続的な長時間労働が許されなくなってきている中、企業側では従業員の「持ち帰り残業」や「隠れ残業」によって従業員の長時間労働をきちんと把握できない問題を指摘。「決めた時間を超えることは許されず、知らなかったでは済まされない。残業は個人ではなく企業の責任になる」として、正しく従業員の労働実態を管理することの必要性を訴える。

 その上で同社のCLOMO MDMでは、指定時間外に業務用端末をロックしたり、アプリケーションの利用を制限したりして従業員の「働きすぎ」を防止。指定時間外に利用する場合は申請・承認を必要とし、延長した際のログを管理することで従業員の利用実態を把握、時間外労働を可視化することができる。中光氏はCLOMO MDMによって「(時間で利用を制限することによって)仕組みで法令を守らせるとともに、意識改革にもつなげることができる」という価値を提供できると語った。

 特別講演では、ITビジネス研究会の代表理事でIT産業ジャーナリストの田中克己氏が「SIビジネスの未来」と題して登壇した。
 
ITビジネス研究会の代表理事でIT産業ジャーナリストの
田中克己氏

 田中氏はまず、平成の30年間(1988年から2018年)で世界のGDPが4.5倍に拡大する一方、「日本は60%程度しか伸びていない」と言う。そうした日本の生産性の低さの要因の一つとして、日本のIT企業が顧客の要望通りのものしか提供せず、真にユーザーのためになるものを提案できていない、デジタル変革に挑戦していない「日本のIT企業の『受け身体質』に問題がある」と指摘する。その上で今後、労働人口が減少していき人月ビジネスが通用しなくなっていく中で、「人に依存しないビジネスモデルを作り上げるか、利益重視の付加価値の高いビジネスを自らつくっていくことが求められる」と強調した。