TDCソフト(小林裕嘉社長)は、コロナ後を見据えた戦略に「アジャイル開発の一層の推進」を掲げる。ビジネスを取り巻く環境が激変する中で、多くのユーザー企業が変化に適応する能力を高めようとしている。同社はこうしたニーズに応えるため、米国のスケールド・アジャイル社が提供するアジャイル開発のフレームワーク「Scaled Agile Framework(SAFe=スケールド・アジャイル・フレームワーク)」を積極的に活用し、ビジネスを伸ばす。

上條英樹 執行役員

 コロナ・ショックはさまざまなサービスのデジタル化を促進する可能性が高い。例えば集合教育を主体としていた学習塾やスポーツジム、職業訓練などはリモートでのサービス提供を充実させる必要に迫られることが想定される。流通・小売、医療関連といった業種でも、人と人の接触をできる限り抑制する手法として最先端のデジタル技術を活用するニーズが高まるとみられる。

 TDCソフトの上條英樹・執行役員経営企画本部長兼ビジネスイノベーション本部長は、「変化に素早く適応するシステムづくりが、より大きな価値として認識されるようになる」と、コロナ後は従来の業務ノウハウや開発力に加えて、変化に適応するスピード感が一層重要視されるようになると考えている。折しも、今年2月にはスケールド・アジャイルの上位パートナー認定「ゴールドパートナー」を取得しており、持ち前のアジャイル開発の技術力、国際的に有力なフレームワークであるSAFeに準拠したコンサルティングサービスが生きてくると見る。

 企業の業務システムにおけるアジャイル開発では、経営トップが何にビジネスチャンスを見出し、どういったサービスを構築したいのかという意思決定が重要になる。SAFe準拠のコンサルティングサービスではこの点を重視しており、「経営トップの意思決定に基づいたコンサルティングやシステム設計の段階からプロジェクトに参加できるようになる」(同)と、従来より上流の工程から関わる案件を増やす武器として期待を寄せている。

 実際、「古くから取引関係があり顧客の業務をよく知っているSIer」と、「アジャイル開発による変化への適応力を前面に押し出したTDCソフト」がコンペになり、SAFe準拠のコンサルティングサービスによって顧客企業の組織やシステムを包括的に変革していく提案が評価され、TDCソフトが受注を勝ち取った案件もあったという。

 TDCソフトはこうしたビジネスを「高付加価値SIサービス」と位置づける。高付加価値SIサービスの19年3月期の売上高構成比は2.5%だが、22年3月期までの3カ年中期経営計画では20%に高める目標だ。

 また、SAFe準拠のビジネスに責任を持つ上條執行役員は、TDCソフトの経営企画の責任者も兼務しており、ユーザー企業のビジネス変革のみならず、アジャイル的な手法を活用してTDCソフト自身のビジネススタイルの変革も推し進めていく。(安藤章司)