日立ソリューションズは7月15日、米6Connexが展開する仮想空間クラウドサービス「6Connex Virtual Event Platform」の販売を開始した。展示会や説明会、セミナーなどのイベント会場を仮想空間上に構築し、非対面のイベントや商談の質向上を支援するサービスで、コロナ禍で急伸するオンラインイベント需要を取り込む。2020年に発売した仮想オフィスサービスに次ぐ「仮想シリーズ」商品で、23年にシリーズ全体で10億円の売り上げを目指す。
小山善直・ワークスタイルイノベーション本部本部長
新サービスは多彩なテンプレートを活用し、「ロビー」「メインホール」「展示ホール」「ヘルプデスク」などの用途に合わせたスペースを組み合わせることで、オリジナルのバーチャルイベント会場を提供する。参加者に会場内を自由に歩き回るような体験をしてもらうことで、イベントへの没入感を高める狙いだ。テンプレートの利用によって短時間でスペースを開設できることも利点で、テンプレートの一部をアレンジしたり、独自のデザインを使ったりもできる。
説明動画やカタログの掲示・配布のほか、ビデオチャットやオープンチャット、プライベートチャットにも対応し、参加者は主催者側や出展者側とリアルタイムでコミュニケーションを図ることもできる。
参加者の訪問先や入手した情報、対話した人物などの情報をまとめたレポートも作成し、効果的な営業活動をサポートする。参加者の行動と参加登録時に回答したアンケートなどを組み合わせ、AIが興味や関心を持つ類似する参加者同士をマッチングする機能も有する。
参加者の満足度を高める仕掛けとして、動画の閲覧やカタログのダウンロードなど行動に応じて参加者にポイントを付与し、ポイントに応じて景品が得られるシステムも備えた。
外部サービスとのAPI連携も充実しており、SalesforceやMarketoなどの営業支援サービス、ZoomやMicrosoft Teamsなどのウェビナーツール、YouTubeなどのライブ動画配信サービスと組み合わせることで柔軟なイベント企画が可能となる。
顧客向けの各種イベントだけでなく、会社説明会やオープンキャンパス、工場見学など多様な用途を想定する。同社は自社が開催するセミナーやショールームに加え、顧客やパートナーとオンライン上で協創する場の運営にも活用していく考えだ。
発表会で、スマートライフソリューション事業部の小山善直・ワークスタイルイノベーション本部本部長は、オンラインイベントの課題として凝った演出やサービスが難しい点や参加者とのコミュニケーションが不十分になることを挙げ、「(新サービスは)課題を解決し、参加者も楽しめる空間を創出する」と話した。(藤岡 堯)