NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は9月9日、「ワークスタイル変革」についての説明会を開催し、自社のコンタクトセンターを在宅勤務化した事例を紹介した。応対品質は在宅勤務前と同じ水準を維持し、従業員の満足度は向上したという。
NTT Comは、一般的な問合せなどを対象とする受付センターに加え、世界中のインフラと顧客のビジネスを守る上で「超重要拠点」と位置づける保守運用のオペレーションセンターの在宅化を実現している。
花村賢一担当課長
マネージド&セキュリティサービス部カスタマーサービス部門の花村賢一・担当課長は、昨年2月以降、基本的な感染対策や他拠点へのリスク分散を段階的に進め、7月から在宅勤務を開始したとし、セキュアドPCの活用や従業員教育の実施でセキュリティを担保したと説明した。
従業員の稼働状況については「Amazon Connectベースのソフトフォンを使い、オペレーターのステータスをリアルタイムで管理した」と述べた。デジタルと紙で実施していた引き継ぎを全てデジタル化し、年間約3万6000枚の紙を削減したことも紹介した。
花村担当課長によると、在宅勤務率は、これまでのゼロから60%に上昇した。電話応答率や故障通知時間などの応対品質は、在宅勤務開始前の数値を維持。昨年度末の従業員満足度は、前年度に比べて3ポイント増となり、過去最高の伸び率になった。コロナ対策については約90%の従業員が満足と回答した。
石原瑛美担当課長
顧客の間では、当初は早急に在宅環境を整備したいというニーズが多かったが、最近は業務プロセスの改革についての要望が増えているという。ソリューションサービス部デジタルソリューション部門の石原瑛美・担当課長は「環境音を気にしなくてはならない電話からノンボイスチャネルへのシフトや、AI(人工知能)を活用したセルフサービスの充実、チャットによるシームレスな課題解決についての声がお客様から寄せられている」と語った。
その上で「データドリブン経営を考えているお客様が増えている。われわれとしては、非接触型のコンタクトチャネルが重視されている現在、コンタクトセンターに集まるデータの重要性は高まっていると感じている」とし、通話内容にもとづく重要事項の自動表示など、データを活用しながら従業員の負荷軽減と応対品質の向上を進める考えを示した。(齋藤秀平)