矢野経済研究所は、国内のテレワーク関連業務アプリケーション市場(7市場計)を調査し、参入企業・ユーザー企業の動向、将来展望を明らかにした。

テレワーク関連業務アプリケーション市場の推移・予測

 それによると、2020年度の国内テレワーク関連業務アプリケーション市場規模(7市場計、事業者売上高ベース)は、前年度比164.6%の1018億8200万円と推計した。

 テレワークを実施する上で必要な環境整備として、円滑な業務遂行のためにウェブ会議システムやビジネスチャットツールの需要が急速に拡大。また、紙の書類への捺印など出社しなければ遂行できない業務を解消する目的でワークフローシステムや電子契約サービスの導入が進んだ。さらに一定期間テレワークを実施する中で、生じたコミュニケーション不足などの課題を解決する目的で仮想オフィスツールの活用に注目が集まる結果となった。

 仮想オフィスツールは、オンライン上でリアルタイムに双方向のコミュニケーションを行う仕組みを提供する製品で、インターネット上の仮想空間に擬似的なオフィスを構築する仮想オフィス機能やチャット機能(音声・映像・テキスト)、画面共有機能、入退室ログ機能などを有し、市場が20年度に本格的に立ち上がった。

 仮想オフィスツール市場規模(事業者売上高ベース)は、21年度に前年度比800.0%の20億円になると予測。テレワークを一定期間実施する中で、コミュニケーションが不足し、孤独感や疎外感を感じる従業員の増加や、組織の一体感の喪失が課題となる企業が増加している。

 仮想オフィスツールには、同じ空間を共有できる仮想オフィスの仕組みや、予約なしで即時に声掛けできる機能、従業員の状況を可視化する機能などがあり、実際のオフィスに近い環境をオンライン上で構築できるため、コミュニケーションに課題感をもつユーザー企業を中心に導入が進んでいる。新規参入企業も増加しており、市場は活況を呈している。

 仮想オフィスツールは、認知度を向上させてユーザー企業に継続して利用してもらえるようにするなど今後の課題はあるものの、働き方が多様化する中で、オンライン上でコミュニケーションを活性化させるための共通プラットフォームとして、ニーズは今後拡大すると見込む。22年度以降も利用企業社数やユーザー数が好調に推移し、25年度の仮想オフィスツール市場は180億円に達すると予測している。

 今後のテレワークの見通しについては、コロナ禍の終息または行動制限の緩和により出社中心の体制に回帰する動きが一定程度発生するものの、ワーカーが通勤時間の削減によるワークライフバランスの向上などテレワークのメリットを実感したことや、ユーザー企業がBCP(事業継続)対策や魅力ある職場づくりなどのテレワーク実施の必要性を認識したことで、25年度頃には20年度時点と同程度にテレワークが普及し定着するとの見方に立ち、市場を予測している。

 21年度のテレワーク関連業務アプリケーション市場規模(7市場計)は、前年度比130.2%の1327億円になると予測。21年度はコロナ禍の終息が見通せない中、テレワーク実施環境の構築を目的とした需要が継続するとしている。

 また、コロナ禍を契機に業務のデジタル化・オンライン化が加速し、ペーパーレス化や業務効率化が進んでいることもテレワーク関連業務アプリケーションの需要拡大につながる見通し。例えば、ウェブ会議システムはセミナーや研修、株主総会、採用面接など多様な場面で活用されている。これらのイベントをオンラインで実施することで、移動時間の削減や交通費の抑制などの効果が期待できるため、利用場面は今後さらに拡大するとした。

 22年度以降はテレワークが企業活動に定着する中で、テレワーク関連業務アプリケーション市場の伸びは緩やかになる見通し。一方、業務効率化やコスト削減を目的としたデジタル化・オンライン化は中期的に継続する見込みで、22年度から25年度までの年平均成長率(CAGR)は11.2%となり、25年度のテレワーク関連業務アプリケーション市場(7市場計)は2085億3500万円に達すると予測している。