アイリスオーヤマ(アイリス)は2月2日、資本業務提携発表でソフトバンクロボティクスグループに100億円を出資し、サービスロボットの共同開発に力を注ぐ方針を示した。2030年には日本の労働需要7000万人に対し労働供給が644万人不足するとの観測をもとに、飲食業などで深刻化する人手不足の解消を喫緊の課題として取り組む。配膳・運搬ロボット「Keenbot(キーンボット)アイリスエディション」も投入し、非接触対策サービスの拡充に活路を見出す。
ソフトバンクロボティクスの冨澤文秀社長兼CEO(左)と
アイリスオーヤマの大山晃弘社長
両社は21年2月にアイリスロボティクスを設立し、初年度の売上高50億円、25年に累計1000億円を掲げて協業してきた。今回、この時期に100億円を出資した経緯についてアイリスの大山晃弘社長は「販売が好調で、新たにキーンボットなどを加えるが、新機種も必要になってくる。共同開発などの流れを強めたい」と語った。ソフトバンクロボティクスの冨澤文秀社長兼CEOは、アイリスとの協業が今後深まり、軸足をB2Bへ置いていくことも見据えつつ「チャンスがあればB2Cも含め、いろいろ挑戦していきたい」と述べた。
総務省によると飲食およびサービス業界の従事者数は、コロナ発生前の19年8月は549万人だったが、コロナ禍の21年8月には61万人減り、488万人となった。両社は人手不足の解消を重点課題に、新製品の投入や開発を促進する構えだ。
今回、新たに投入したキーンボットの販売価格は月額6万9800円(税込み)。大容量の配膳や下膳を強みに1段で10キログラムを積載する。最大4段のトレイが設置できるほか、走行速度は最速で時速3.6キロメートルまで調節が可能。大規模レストランやホテルなどへの拡販を目指す。
アイリスの本所翔平・執行役員BtoB事業グループ メーカー本部本部長兼ロボティクス事業部事業部長は「店舗でロボットと人がどう共存して仕事をしていくのか、総合的なソリューションを提供していくこと」をテーマに掲げた。