SAPジャパンは、年商800億円未満の中堅・中小企業への販売を100%パートナー経由とする方針を固めた。国内企業のほとんどを占める中堅・中小企業へのデジタル化支援を加速させるため、販売体制の転換を図る。合わせて、パートナー企業向けの日本語版ポータルを開設し、SAPがグローバルで得てきた営業に関する知見を提供するなど、支援体制を強化する。鈴木洋史社長は「私どものソリューションを活用してもらい、中堅・中小企業を強い体質にしていくことで、日本の社会課題の解決につながる。2022年中に(100%を)達成したい」と強調した。
鈴木洋史 社長
2月16日にオンライン開催した記者会見で鈴木社長は、生産年齢人口の急減などによる人手不足の深刻化を受け、中堅・中小企業ではデジタル化へのニーズが高まっていると指摘し、SAP製品が浸透する余地は大きいとの見方を示した。一方で、直販では自社のリソースに限りがあるため、パートナーの力を広く利用する狙いで、100%間接販売の方針を打ち出した。現時点での間接販売の比率は公表していないが、すでに直接販売を上回っているという。
パートナー向けポータルについては、現在グローバルで展開されているポータルの内容を日本語化して提供するほか、SAPの法人営業のノウハウ、営業プロセスの効率化・標準化に関する手法などを広く発信する。
会見で鈴木社長はパートナーエコシステムの現状を報告し、日本では21年中に52社がSAPビジネスに新たに加わり、エコシステム全体で424社が参画しているとした。
SAPジャパンの21年の総売り上げも公表し、前年比6%増の約13億8000万ユーロ(約1770億円)となり、伸び率がグローバルの2倍に達するなど、全ての指標でグローバルの伸びを上回っているとした。
(藤岡 堯)